皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。
本日も昨日に引き続き新興国通貨のスワップについてのお話です。
南アランド円、トルコリラ円同様に人気が高い通貨ペアがメキシコペソ円です。
2018年4月5日現在の政策金利は7.50%と非常に高いものになっています。
南アランド、トルコリラ円について興味をお持ちの方は昨日、おとといの記事をご覧ください。
・南アランド円のスワップと損益分岐点
・トルコリラ円のスワップと損益分岐点
フジトミでも扱うメキシコペソ円の取引がくりっく365で取引可能になったのは2017年10月30日と比較的最近なのですが、建玉数量をみるとその人気をうかがい知ることができます。
現在くりっく365市場で取引可能な通貨ペアは30ペアありますが、その出来高数を大きいものから順に並べると2018年3月末時点で、メキシコペソ円のランキングはNZランド円に次ぐ9位となっています。
くりっく365 建玉数量ベスト10-2018年3月末時点
2018.03 | 2018.02 | 2018.01 | 2017.12 | 2017.11 | 2017.1 | 2017.09 | ||
1 | 米ドル/円 | 600,443 | 590,863 | 547,101 | 537,737 | 540,702 | 555,491 | 560,140 |
2 | トルコリラ/円 | 346,164 | 383,953 | 349,627 | 293,059 | 309,259 | 288,550 | 280,088 |
3 | 英ポンド/円 | 192,594 | 224,765 | 185,863 | 188,920 | 191,456 | 192,678 | 197,478 |
4 | 南アフリカランド/円 | 133,743 | 120,290 | 81,577 | 82,388 | 133,418 | 149,879 | 128,996 |
5 | オーストラリアドル/円 | 103,224 | 112,498 | 78,568 | 78,182 | 106,735 | 82,588 | 76,251 |
6 | ユーロ/米ドル | 65,940 | 63,566 | 67,946 | 52,910 | 46,505 | 45,247 | 56,141 |
7 | ユーロ/円 | 57,461 | 58,913 | 65,838 | 75,558 | 70,244 | 71,220 | 73,911 |
8 | NZドル/円 | 51,021 | 49,272 | 30,711 | 30,429 | 47,653 | 38,797 | 29,204 |
9 | メキシコペソ/円 | 39,571 | 51,932 | 31,507 | 37,107 | 5,940 | 4,302 | – |
10 | 英ポンド/米ドル | 25,951 | 21,001 | 25,107 | 17,858 | 17,994 | 17,794 | 19,502 |
※出典:東京金融取引所
2017年10月に上場したので当然2017年9月時点での建玉数量は0枚です。5ヶ月あまりで4万枚弱まで建玉数が増加しましたのでこのペースでいくと半年後にはオーストラリアドル円に次いで6位ぐらいまで数量を増やす可能性がありそうです。
そんなメキシコペソ円
値動きはご覧のような展開です。
メキシコペソ円
※チャートはフジトミの取引画面から
大きく分類すると2つに分けられそうです。2004年から2008年に掛けては9円から11円台で推移し、それ以降は5円から8円台の間での展開となっています。
政策金利について
現時点(2018年4月5日)の政策金利は7.50%です。
2015年以降では2015年11月までが3%、そこから段階的に上昇し、3%⇒3.25%⇒3.75%⇒4.25%⇒4.75%⇒5.25%⇒5.75%⇒6.25%⇒6.5%⇒
6.75%⇒7.00%⇒7.25%⇒7.50%とここ3年間で12回も利上げをおこなっています。
政策金利が何度も上昇した背景にはメキシコ国内のインフレ率の上昇が背景にあります。
インフレ率を示す消費者物価指数(CPI)をグラフにしたものが次のものです。
※出典:ブルームバーグ、作成:フジトミ
2005年から2006年に掛けては2%から3%台で落ち着いていましたが、2017年1月以降から物価上昇が始まり、2017年12月には6.77%まで上昇しました。最新のデータ2018年2月末時点での消費者物指数は5.34%と少し落ち着いてきていますので、続いていた利上げもこのあたりで落ち着くとの見方が大筋の見方です。
損益分岐点について
メキシコペソ円の損益分岐点は次のようなグラフになりました。
青い線が終値の推移、オレンジの線が損益分岐点、そして棒グラフがその差分を現しています。
特徴的なのが棒グラフの角度です。2016年台と2017年台とでその角度に違いがあるように見えます。政策金利を比べると2015年代は3%台から生まれるスワップポイントと7%台から生まれるスワップポイントは大きく違うことがグラフからも解りました。
最後に現在値にラインを引いたものがご覧のものです。
本日4月5日8時18分現在のレート、5.89円にラインを引いてみました。
2017年3月から11月にかけて青の終値ラインはピンクの現在値ラインよりも上にいますので評価損となっていますが、スワップポイントを加えたオレンジのラインはピンクの現在値と交わるような位置にありますので、その分を相殺することができているようです。また、2016年に掛けてはすべての期間でピンクの現在値ラインを下回っていますのでスワップによって大きな利益を生んでいることを示しています。
まとめ
現時点の判断では、政策金利7.50%がもたらすアドバンテージは大きく値下がりで発生した評価損をスワップによってカバーすることができているようです。
ただし、現在の高金利状況がこの先も続くかどうかはわかりません。
政策金利と消費者物価指数(CPI)には大きな関係性があるので仮にメキシコの消費者物価指数が下がった場合、当然現在のような高金利を維持する必要はなくなりますので、政策金利は引き下げられることが考えられます。
利下げがおこなわれた時、為替レートにどのような影響を与えるのか。
そんなことを考えると色々な展開が考えられる面白い相場です。
本日はメキシコペソ円についてのお話でした。
なお、計算した損益分岐点は、政策金利の値を採用しており、実際のスワップポイントとは異なりますのでご留意ください。
今後の投資の判断材料に使っていただけたら幸いです。
このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。
参考文献
東京金融取引所 https://www.tfx.co.jp/historical/fx/transit_fx.html
ブルームバーグ https://www.bloomberg.co.jp/