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イールドスプレッドで9月11日の米国株市場を先取り!米長期金利が大幅低下したため米国株の割高感は和らぐ!

  • 2024/09/11
  • 米蔵(ヨネゾウ)
  • アジアタイム

 

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。

10日は、NY株式相場は、主要三指数はNYダウは反落した一方で、S&P500種指数やNASDAQ総合指数は小幅に続伸する展開となった。様子見が強まる中まちまちの動きとなった。一方、米長期金利は重要指標発表を控えて買いが優勢となり金利は大幅に低下した。そのため、イールドスプレッドは米国株はまちまちとなったものの、米国株主要三指数全てで前日比で割安になった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はマイナス圏へ低下している。11日終了時ではマイナス24.3(9日:マイナス24.3)と前日比でマイナス幅は横ばいだった。ただ、この指数のマイナス推移は、市場予想を下回る経済指標が増えていることを示している。現在は利下げ期待が株価を下支えしているが、先行きのファンダメンタルズの悪化は株式市場には下落要因となりやすい。そして、全般的に平均値を下回るイールドスプレッドからは、過熱感が維持していることで、株価の調整色が長引く可能性があるため注意したい。米国の景気減速感が強まっている。

NY株式市場では、ソフトランディング期待を受けた買いが続き、寄り付き後は上昇した。しかし、金融セクターの下落や原油価格の下落でエネルギーセクターが弱く、NYダウは下落に転じ、終日売られた。長期金利低下でハイテクは終日堅調に推移してまちまちで終了した。自動車・自動車部品が上昇した一方、銀行・エネルギーが下落した。8月米消費者物価指数(CPI)や米卸売物価指数(PPI)など、今週発表される米重要指標を前に、持ち高調整目的の売りが優勢となった。一方、米長期金利は、8月米消費者物価指数(CPI)や米卸売物価指数(PPI)など、今週発表される米重要指標を前に買い(利回りは低下)が入りやすかった。3年債入札が「好調」と受け止められたことも相場を下支えした。利回りは一時3.6348%前後と昨年6月以来約1年3カ月ぶりの低水準を付けた。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

米国株のVIX指数は19.45から19.08へ低下した。そして、VIX指数が20を下回っていることで、リスク回避の動きが弱まる動きになってきている。ただ、債券利回りに対して、株式指数の益利回りが割高感を維持していることには注意が必要。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

米国主要三指数のNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.835%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%

               24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・9月9日▲0.290%⇒9月10日:予想▲0.356%(前日比で拡大:割安)

 

9月10日のNYダウは反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)だった。平均値▲2.835%から▲2.479%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲3.870%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲3.746%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲4.185%下回った。20年3月23日の6.017%から▲5.661%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.499%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%

               24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・9月9日:▲0.703%⇒9月10日:予想▲0.740%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は小幅続伸した一方で、米国長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.499%から▲1.759%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲3.129%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲3.262%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲3.439%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲3.759%下回った。20年3月23日の6.222%から▲5.482%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.392%

・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%

              24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・9月9日:+0.284%⇒9月10日予想+0.255%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが小幅続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.392%から▲1.647%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.434%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.638%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.753%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.058%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.349%下回った。

 

★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利は大幅低下した一方で、株価指数が小幅続伸反発したものの前日比でイールドスプレッドは拡大した。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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