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イールドスプレッドで8月6日の米国株市場を先取り!米株急落と米長期金利の低下傾向から米株の割高感は緩和基調へ!

  • 2024/08/06
  • 米蔵(ヨネゾウ)
  • アジアタイム

 

イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。

5日は、先週金曜の米7月雇用統計で強まった景気後退(リセッション)懸念が世界中に波及し、日経平均が1987年のブラックマンデー以来の急落となったことでリスク回避の動きが一段と強まった。日銀の利上げを受けて低金利の円を借りて世界のリスク資産に投資する円キャリートレードが縮小するとの見方もセンチメントの悪化につながった。一方、米長期金利はわずかに低下したことで、イールドスプレッドは米国株三主要三指数は全てで前日比で大幅割安となった。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はマイナス圏へ低下している。5日終了時ではマイナス35.7(1日:マイナス37.2)と前日比でマイナス幅は縮小した。ただ、この指数のマイナス推移は、市場予想を下回る経済指標が増えていることを示している。現在は利下げ期待が株価を下支えしているが、先行きのファンダメンタルズの悪化は株式市場には下落要因となりやすい。そして、全般的に平均値を下回るイールドスプレッドからは、過熱感が維持していることで、株価の調整色が長引く可能性があるため注意したい。米国の景気減速感が強まっている。

NY株式市場では、弱い7月雇用統計を受けた景気後退入り懸念に売りが継続し、寄り付き後は下落した。加えて世界株安で投資家心理が急速に悪化し、手仕舞い売りも加速したと見られ、終日売りが先行した。ハイテクも売られ、戻り鈍く終盤にかけ売りが再び加速して終了した。一方、米長期金利は、米景気後退懸念が高まる中、相対的に安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が入った。利回りは一時3.6653%前後と昨年6月以来の低水準を付けた。ただ、7月米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことが分かると売り(利回りは上昇)が優勢となり、値を消した。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

米国株のVIX指数は23.39から38.57へ大幅上昇した。VIX指数が20を上回っていることで、リスク回避の動きが強まる動きになっている。しかし、債券利回りに対して、株式指数の益利回りがかなり割高感が強まっていることには注意が必要。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

米国主要三指数のNASDAQ総合指数は、イールドスプレッドが益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.855%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%

               24/4/26‐+0.412%、24/5/10₋+0.376%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・8月2日▲0.280%⇒8月5日:予想▲0.391%(前日比で拡大:割安)

 

8月3日のNYダウは大幅3日続落したうえ、米長期金利も小幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)だった。平均値▲2.855%から▲2.464%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲3.835%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲3.711%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲4.150%下回った。20年3月23日の6.017%から▲5.626%下回った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.514%

・直近イールドスプレッド縮小: 23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%

               24/4/11‐+0.051、24/4/25₋+0.056%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・8月2日:▲0.664%⇒8月5日:予想▲0.803%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が大幅3日続落したうえ、米国長期金利も小幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.514%から▲1.711%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲3.066%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲3.199%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲3.376%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲3.696%下回った。20年3月23日の6.222%から▲5.419%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.406%

・直近イールドスプレッド縮小:23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%

              24/4/11‐+1.215%、24/4/16₋+1.183%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・8月2日:+0.363%⇒8月5日予想+0.239%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQが大幅3日続落したうえ、米長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲1.406%から▲1.645%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲2.418%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲2.622%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲2.737%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.042%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲4.333%下回った。

 

★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が小幅低下したうえ、株価指数も3日続落したことで前日比でイールドスプレッドは拡大した。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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