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イールドスプレッドで5月23日の米国株市場を先取り!米長期金利上昇で米株安でも割高感は概ね横ばい!
- 2024/05/23
- アジアタイム
★イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。
22日は米長期金利が上昇した一方で、米国株主要三株価指数は全て下落する展開となった。しかし、イールドスプレッドはNYダウとS&P500種指数は前日比で拡大して割安となった。一方で、NASDAQは縮小して前日比で割高となった。米インフレが再加速するとの懸念が薄れる中、連邦準備制度理事会(FRB)高官が依然、当面、高金利維持を支持する慎重姿勢を表明している。また、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した前回開催分のFOMC議事要旨では、政策金利を一段と長期にわたり高水準で維持する姿勢が再表明されたほか、必要であれば追加引き締めを支持する参加者もいたことが明らかになり、利下げ期待の後退で売りに拍車がかかった。このところ、市場では悪い経済指標結果が公表されると、株式市場ではグッドニュースとなり好感される展開になっている。シティバンクのストラテジー指数のエコノミックサプライズ指数はマイナス圏へ低下しており、22日終了時ではマイナス22.0まで低下している。これは、市場予想を下回る経済指標が増えていることを示している。現在は利下げ期待が株価を下支えしているが、先行きのファンダメンタルズの悪化は株式市場には下落要因となりやすい。そして、全般的にイールドスプレッドからは、過熱感が強まっていることで、急速に株価が調整色を強める可能性があるため注意したい。米国株主要三指数は、益利回りが米長期利回りを下回る状況で割高感が強い。
★NY株式市場では、連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や半導体エヌビディア(NVDA)の決算発表を控え、様子見気配が強まり小動きで寄り付いた。連邦準備制度理事会(FRB)が公表した前回開催分のFOMC議事要旨では、政策金利を一段と長期にわたり高水準で維持する姿勢が再表明されたほか、必要であれば追加引き締めを支持する参加者もいたことが明らかになり、利下げ期待の後退で売りに拍車がかかった。ナスダックは過去最高値付近からの利益確定売りに押されたがエヌビディア決算への期待が根強く、終盤にかけて下げ幅を縮小し終了した。一方、米長期金利は、欧州債相場の下落を受けて米国債にも売り(利回りは上昇)が波及したものの、売り一巡後は下げ渋った。なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表後に売りが強まる場面もあったが、反応は一時的だった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
米国株のVIX指数は11.86から12.29へ上昇した。VIX指数が20を下回っていることで、リスク回避の動きが強まる動きになっていない。しかし、債券利回りに対して、株式指数の益利回りがかなり割高感が強まっていることには注意が必要。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.902%
・直近イールドスプレッド縮小: 23/7/6‐▲0.381%、23/8/3₋▲0.260%
23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・5月21日+0.337%⇒5月22日:予想+0.326%(前日比で拡大:割安)
5月22日のNYダウは反落した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲2.902%から▲3.228%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲4.552%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.428%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲4.867%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.343%下回った。
米国主要三指数のNYダウとNASDAQ総合は、イールドスプレッドで益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.550%
・直近イールドスプレッド縮小: 23/7/6‐▲0.828%、23/8/3₋▲0.642%
23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・5月21日:▲0.026%⇒5月22日:予想▲0.028%(前日比で拡大:割安)
S&P500は4日ぶりに反落した一方で、米国長期金利が上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.550%から▲2.522%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲3.841%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲3.974%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲4.151%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.471%下回った。20年3月23日の6.222%から▲6.194%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.442%
・直近イールドスプレッド縮小:23/6/22‐+0.562%、23/8/3₋+0.913%
23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・5月21日:+1.070%⇒5月22日予想+1.072%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.442%から▲2.514%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲3.251%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲3.455%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.570%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.875%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲5.166%下回った。
★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価指数が反落したことで前日比でイールドスプレッドは縮小した。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。