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イールドスプレッドで4月4日の米国株市場を先取り!米長期金利がわずかに低下でも割高感はほぼ変わらず!
- 2024/04/04
- アジアタイム
★イールドスプレッドは債券利回りと株式指数の益利回りを比較して、割安・割高を分析するツールである。当然に割高な方を売って、割安な方を買うという際に一つの目安になる。一般的には、リスクゼロの米国債利回りはリスクの高い株式市場の益利回りよりも低い。また、債券利回りと益利回りのスプレッドが縮小してくると、株を売って債券を買うという取引が強まる。一方、スプレッドが拡大すればその逆の取引が強まる。現在はスプレッドが過度に縮小する展開になっているが、米国の利上げ基調が継続していることから、債券買いも手控えられる展開になっている。『割高解消には』①株価の下落調整、②債券の利回り低下、または、③その両方の調整が必要となる。
3日は米長期金利が小幅に低下した一方で、主要三株価指数は上げ下げまちまちの展開となった。しかし、イールドスプレッドでは、NYダウはわずかに拡大したものの、S&P500指数とNASDAQ総合指数はわずかに縮小する展開となった。インフレ指標の高止まりとなっている一方で、米国の利下げ期待はやや後退方向にある。そのため、引き続き米長期金利は4.3%台で高止まり推移している。米長期金利が高止まりしているなかで、米国株がまちまちの展開のため割高感は維持している。全般的イールドスプレッドからは、過熱感が強まっていることで、急速に株価が調整色を強める可能性があるため注意したい。NYダウとNASDAQ総合指数は、益利回りが米長期利回りを下回る状況で割高感が強い。
★NY株式市場では、主要三株価指数はまちまちの展開になった。ADP雇用統計が予想を上回り、利下げがさらに遠のくことを警戒した売りに、寄り付き後は下落した。その後、3月ISM非製造業景況指数が予想外に低下し、消費鈍化を示唆したため金利先安観が再燃した。さらに、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も引き続き年内の利下げの可能性を示唆すると、相場は上昇に転じた。終盤にかけ、消費鈍化を警戒した売りが上値を抑制しNYダウは再び下落した一方、ナスダックは利下げ期待の再燃でかろうじてプラス圏を維持してまちまちで終了した。一方、米長期金利は、3月ADP全米雇用報告が予想を上回ったほか、ボスティック米アトランタ連銀総裁が「今年の利下げは1回のみと予想」との考えを改めて示すと売り(利回りは上昇)が先行した。利回りは一時4.4274%前後と昨年11月以来の高水準を付けた。ただ、3月米ISM非製造業指数が予想を下回ったことが分かると買い戻し(利回りは低下)が優勢となり、上げに転じた。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。
米国株のVIX指数は14.61から14.33へわずかに低下した。VIX指数が20を下回っていることで、リスク回避の動きが弱まってきている。しかし、債券利回りに対して、株式指数の益利回りがかなり割高感が強まっていることには注意が必要。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲2.935%
・直近イールドスプレッド縮小: 23/7/6‐▲0.381%、23/8/3₋▲0.260%
23/10/9‐+0.175%、23/10/19₋+0.335%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-▲6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・4月2日+0.132⇒4月3日:予想+0.124%(前日比で拡大:割安)
4月3日のNYダウが小幅続落したうえ、米長期金利がわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値▲2.935%から▲3.059%平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲4.350%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲4.226%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲4.665%下回った。20年3月23日の6.017%から▲6.141%下回った。
NYダウとNASDAQ総合指数のイールドスプレッドは益利回りより米10年債利回りの方が高いという異常なほどの割高感が強いままである。普通に考えればリスクの大きい株式の益利回りよりも、リスクが小さい債券利回りの方が低いというのが正常な市場である。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.576%
・直近イールドスプレッド縮小: 23/7/6‐▲0.828%、23/8/3₋▲0.642%
23/10/9‐▲0.274、23/10/19₋▲0.143%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-▲4.499%
20/3/23-▲6.222%
・4月2日:▲0.175%⇒4月3日:予想▲0.174%(前日比でわずかに縮小:割高)
S&P500は小反発した一方で、米国長期金利が小幅低下したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.576%から▲2.402%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲3.695%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲3.828%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲4.005%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲4.325%下回った。20年3月23日の6.222%から▲6.048%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.468%
・直近イールドスプレッド縮小:23/6/22‐+0.562%、23/8/3₋+0.913%
23/10/9‐+1.395%、23/10/19₋+1.546%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・4月2日:+0.929%⇒4月3日予想+0.934%(前日比で縮小:割高)
NASDAQが反発した一方で、米長期金利がわずかに低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲1.468%から▲2.402%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲3.113%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲3.317%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲3.432%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲3.737%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲5.028%下回った。
★NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価指数は反落したものの前日比で変わらずだった。スプレッド幅は平均値を大幅に下回っており、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドでは、債券利回りを益利回りが下回った状態が継続。益利回りが債券の利回りを下回ったことから、債券割安・株式割高の状態が続いている。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。