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グローバル製造業PMIとエコノミックサプライズ指数から市場を見る!(7月10日)

  • 2018/07/10
  • 米蔵(ヨネゾウ)
  • 欧州タイム

J.P.モルガン.グローバル製造業PMI(季節調整済)

PMI(購買担当者景気指数)とは、景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目されている。企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを聞き取り、景況感についてアンケート調査した結果を指数化したものである。50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が続くと景気減速を示す。

 

グローバル製造業PMIは、先進国や新興国を含めた世界全体の景気度合いを計る指標として注目されている。

 

また、英国の金融情報・調査会社のIHSマークイットが独自にまとめたPMIがある。

 

『グローバル製造業PMI』は、昨年17年12月31日54.5がピークとなり景気拡大の勢いが鈍化し、今年に入ってから指数は低下し続けていた。しかし、3月31日の53.3をボトムとして一旦は53.5まで回復基調となった。ただ、6月30日には再び下落し53.0まで低下したことで、世界的な景気の勢いは再び鈍化傾向となっている。現在は景気成長の節目である50を上回っており、景気拡大は鈍化しながらも成長は継続している。米FRBが利上げを継続していることや、米国発の米中、米欧の貿易通商協議の激化してきており先行き不透明感が強まっている。また、OPECの定時総会以降74ドル超と原油高となっている。そのため、製造業PMIが改善する材料は乏しい状況となっている。そのため、世界的に株価の上値の重石となり、上値の重い展開が予想される。

 

一方、『日米欧のマークイット製造業PMI』では、米国は昨年630日時点がボトムとなり、その後若干の調整をしながらも上昇基調を継続していたが、直近の製造業PMIは大きく下落した。FRBの利上げやドル高、そしてトランプ政権による米中・米欧などの貿易通商協議の不透明感が、企業の購買部担当者の景況感を悪化させている。欧州は昨年1231日がピークとなり、下落基調が継続している。今年に入ってからユーロ高が続いていたことが大きな要因と思われるが、このところのユーロ高是正により先行きは戻り基調になるかが注目される。しかし、このところの米国との貿易協議が激化してきていることから、欧州の回復も不透明感が漂い始めている。日本は節目となる50を上回っているものの、欧米のような大きな動きはなく低位安定している。

 

エコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)

シティグループが算出しているエコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)は、各種経済指標と事前予想との食い違い(かい離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数である。雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。

この指数は市場の期待値に対して上回るものが多いのか、それとも下回るものが多いのかを示す指数である。市場の期待値に対して上回る指標が多ければ当然に株価や通貨が高くなりやすい。一方で、市場の期待値を下回り続けると、市場参加者が景気の先行き懸念が生じることから、遅行して株価や通貨などが下落しやすい。

 

先進10カ国のびっくり指数は、急速に改善方向にあり6月29日の▲28.80から改善し、7月9日時点では▲4.5となった。市場予想に近い指標が増えてきていることを示している。新興国のびっくり指数は資源価格が上昇したことなどから、今年に入ってから市場予想を上回る結果となっていたが、3月15日+39.50がピークとなり、その後は急速な下落基調だったが、米国長期金利の落ち着きや過度な新興国からの資金引き上げも一服したことから、急速に持ち直しの動きとなっている。また、先進国10カ国のびっくり指数も昨年12月24日をピークとして下落基調が続いていたが、新興国同様に戻り基調となってきた。しかし、今後米国発の関税賦課や報復関税などの貿易戦争激化の影響が出てくるかが注目される。

 

米欧日のびっくり指数では、日欧のびっくり指数はドル高・円安・ユーロ安の恩恵もあり、市場予想を上回る指数が多くなってきている。また、低下傾向にあった米国のびっくり指数も下げ止まり、プラス圏を維持していることから、米国景気の底堅さが窺える。トランプ政権が中国や欧州との間で関税賦課の応酬激化の様相となっていることも、先行き不安から企業マインドや消費マインドなども収縮する可能性が高い。また、レギュラーガソリン価格が再び上昇してきたことで、自動車社会である米国の消費マインドを低下させる。さらに、76日から輸入品に関して賦課関税発動したことで、今後の経済指標に少なからず影響を与えることになり、今後の経済指標の動向が重要となる。

日欧のびっくり指数は持ち直してきていることから、遅行して株価も上昇基調となっている。一方で、米国のびっくり指数は戻り基調ではあるものの、日欧ほどは勢いが鈍いことでNYダウが上値の重い展開となっている。米国のびっくり指数が再び下落してくるようなら、トランプ政権が中国や欧州への過激な通商協議も落としどころを見つけないと、トランプ政権自体が墓穴を掘ることになりそうだ。

欧州ではびっくり指数が下落基調だったにも関わらず、ユーロ高が続いていたことから一気に下落調整となったことが分かる。為替市場ではびっくり指数に連動しやすいため、逸脱した動きをしていた場合は調整も大幅なものになる。また、日本のびっくり指数と為替の関係では、びっくり指数が低下するとリスク回避の円買いになりやすいという特徴がある。株式市場では、びっくり指数に遅行して上昇・下降する特徴があることから、今後の株価の動向を探る上では参考になりやすい。

 

次回の製造業PMIとびっくり指数のコメントは7月20日に投稿します。

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