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グローバル製造業PMIとエコノミックサプライズ指数から市場を見る!

  • 2018/06/20
  • 米蔵(ヨネゾウ)
  • 欧州タイム

J.P.モルガン.グローバル製造業PMI(季節調整済)

PMI(購買担当者景気指数)とは、景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目されている。企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを聞き取り、景況感についてアンケート調査した結果を指数化したものである。50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が続くと景気減速を示す。

 

グローバル製造業PMIは、先進国や新興国を含めた世界全体の景気度合いを計る指標として注目されている。

 

昨年17年12月31日54.5がピークとなり景気拡大の勢いが鈍化し、今年に入ってから指数は低下し続けていた。しかし、3月31日の53.3をボトムとして一旦は53.5まで回復基調となった。ただ、5月31日には再び下落し53.1へ低下したことで、世界的な景気の勢いは再び鈍化傾向となっている。現在は景気成長の節目である50を上回っており、景気拡大は継続している。米FRBが利上げを継続しており、5月は米長期金利も上昇していたことから、ドル建て債務を抱えている新興国の通貨安や、金利上昇から新興国の景気は減速傾向にある。また、昨今では米中貿易摩擦の激化から、世界的な先行不安が高まってきている。そういう面では、再び世界的な景気の持ち直し材料は見られない。現在は節目となる50を上回っていることから、急に世界的な景気が腰折れとはなりにくいが、昨年までの景気の勢いは鈍化してきていることには注意が必要となる。

 

エコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)

シティグループが算出しているエコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)は、各種経済指標と事前予想との食い違い(かい離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数である。雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。

この指数は市場の期待値に対して上回るものが多いのか、それとも下回るものが多いのかを示す指数である。市場の期待値に対して上回る指標が多ければ当然に株価や通貨が高くなりやすい。一方で、市場の期待値を下回り続けると、市場参加者が景気の先行き懸念が生じることから、遅行して株価や通貨などが下落しやすい。

 

先進10カ国と新興国のびっくり指数は、6月8日の▲33.80から改善し、6月20日時点では▲32.40となった。ただ、マイナス圏にあることから経済指標は市場予想を下回る結果が多い。新興国のびっくり指数は資源価格が上昇したことなどから、今年に入ってから市場予想を上回る好結果となっていたが、315日+39.50がピークとなり6月20日では▲20.0まで急減速している。一旦戻りの兆しは出ているものの、一時の戻りで終わってしまう可能性もある。また、先進国10カ国のびっくり指数も昨年24日をピークとして下落基調が続いていることで、市場予想を下回る経済指標が続いている。ただ、直近では全面ドル高となっていることで、他の先進国への経済指標の持ち直しがけん引し始めている可能性がある。

日米欧のびっくり指数では、好調だった米国の指数が下落基調となっていたが、プラス圏で下止まっていることから、市場予想に対して強弱まちまちの展開となっている。欧州のびっくり指数は、ユーロが反転して下落したことから、遅行してじわじわと景気の持ち直しに貢献し始めてきたため、今後の持ち直しにも期待したいところだ。ただ、スペインやイタリアの先行き政局不安が浮上していることや、英国とのブレグジットの協議が進んでいないことで、今後も下落基調が続く可能性もある。ただ、ユーロ安が今後も続くようなら、ドイツやオランダなどユーロ圏でも経常黒字国の景況感が改善し、指数を押し上げる可能性が出てくる。日本のびっくり指数は、若干改善方向にあることを示している。ただ、トランプ政権が米中貿易交渉を進めていることで、日本への圧力が緩和しているため円安も手伝って持ち直し傾向が続いている。米中貿易交渉が一服すると、トランプ政権の目線が日本に向けられるため、今のうちに改善しておかないと先行き低下する可能性が高い。世界的にびっくり指数が低下傾向にあることから、日本だけが改善するのは無理がある。円安けん制については、米国消費者物価指数コア指数(除く食料品・エネルギー価格)では、11月30日の前年同月比1.7%から5月31日の同比2.2%まで急上昇しており、ドル安政策を取ると国内インフレが高まることから、トランプ政権としはドル高政策を継続する必要がある。そのため、円安けん制発言はしばらく出難い状況となっている。

 

日米欧のびっくり指数はピークからが低下傾向となっていることから、昨年までのリスク選好の株高にはなりにくいのが現状である。最初は市場予想を下回る結果となっても、景気の内容的には高水準を維持しているが、徐々に景気減速の兆候が出始めることで、遅行して市場が反応する。びっくり指数が回復基調となっても、最初は疑心暗鬼で反応しないが徐々に景気の回復感が出始めた頃から市場が反応し始める傾向がある。注意することは、米国が中国との貿易摩擦からびっくり指数も今後低下してくると、米国景気の減速感から遅行して世界全体にリスク回避の動きにつながりやすいので注意して見ていく必要がある。

 

次回のコメントは6月29日(金)に掲載します

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