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グローバル製造業PMIとエコノミックサプライズ指数から市場を見る!(9/10作成)

  • 2018/09/10
  • 米蔵(ヨネゾウ)
  • 欧州タイム

 

J.P.モルガン.グローバル製造業PMI(季節調整済)

PMI(購買担当者景気指数)とは、景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目されている。企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを聞き取り、景況感についてアンケート調査した結果を指数化したものである。50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が続くと景気減速を示す。

 

グローバル製造業PMIは、先進国や新興国を含めた世界全体の景気度合いを計る指標として注目されている。

 

また、英国の金融情報・調査会社のIHSマークイットが独自にまとめたPMIがある。

『グローバル製造業PMI』は、昨年17123154.5がピークとなり景気拡大の勢いが鈍化し、指数は低下傾向にある。一旦戻り基調となる場面もあったが、再び下落基調が継続している。そのため、世界的な景気の勢いはピーク時から再び鈍化傾向となっている。しかしながら、現在は景気成長の節目である50を上回っており、景気拡大は鈍化しながらも成長は継続している。50を割れてくるようなら、世界的に景気減速期に入ったことになるので株式市場などに影響が出始めやすい。米FRBが利上げを継続していることや、米国発の米中間での関税による報復合戦となっており先行き不透明感が強まっている。先週末にはトランプ政権は2000億ドル規模の第3弾の課税を発動する予定となっている。加えて、2670億ドルとほぼ全輸入品に課税を課すことも辞さない方針が再確認された。中国側も同額の報復関税を警告しており、米中貿易戦争が泥沼化する可能性が高まっている。米8月雇用統計が良好な結果となったことから、米FRBは年内2回の利上げが確実視されており、ドル建て債務を抱えた新興国の景気の打撃となりやすい。さらに、世界的に異常気象が発生しており、経済基盤の弱い国では景気の下押し懸念が高まりやすい。

 

一方、『日米欧のマークイット製造業PMI』では、米国は昨年630日時点がボトムとなり、その後若干の調整をしながらも上昇基調を継続していた。しかし、このところの製造業PMIは下落傾向となっている。FRBの利上げやドル高、そしてトランプ政権による米中の貿易通商協議の不透明感が、企業の購買部担当者の景況感を悪化させている。また、直近では関税賦課により鉄鋼価格が先行き上昇すると見られるほか、米国内への輸入車の関税の話しも出ており製造業への逆風となっている。欧州は昨年1231日がピークとなり、下落基調が継続していた。今年に入ってからユーロ高が続いていたことが大きな要因と思われる。ユーロ高は是正されたが、下落基調は継続している。一方、日本においては、米国との通商協議が残っており購買部担当者の警戒感が根強くある。また、このところ円安一服も先行き不安が残る。

 

 

エコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)

シティグループが算出しているエコノミック・サプライズ指数(びっくり指数)は、各種経済指標と事前予想との食い違い(かい離幅)を指数化し、ゼロ(予想通り)を挟んで、上下(プラス・マイナス)で示した指数である。雇用や生産などの各種経済指標が事前の市場予想と比べてどうだったかを指数化したもので、実績が予想を上回れば指数は上昇、逆に下回れば下落する仕組みとなっている。

この指数は市場の期待値に対して上回るものが多いのか、それとも下回るものが多いのかを示す指数である。市場の期待値に対して上回る指標が多ければ当然に株価や通貨が高くなりやすい。一方で、市場の期待値を下回り続けると、市場参加者が景気の先行き懸念が生じることから、遅行して株価や通貨などが下落しやすい。

 

新興国のびっくり指数は315+39.50がピークとなり、その後は米利上げの影響やドル高の影響もあり急速な下落基調となった。しかし、持ち直しの傾向となっているが、このところはゼロライン近辺で横ばいから下落基調となっている。また、先進10カ国と新興国のびっくり指数は、ゼロライン近辺まで持ち直したものの、再び下向きとなっており経済指標は市場予想を下回る結果が多くなっていることを示している。先進国10カ国のびっくり指数は昨年1224日をピークとして下落基調が続いていたが、新興国同様に戻り基調となった。しかし、ゼロライン近辺で頭打ちとなってきた。ドル高も一服気味となっていることで、米国以外の先進国の経済指標の持ち直しも鈍化気味となっている可能性が高い。また、米国と中国・先進国間で通商問題が激化してきていることや、一部の新興国通貨が暴落するなどリスク要因が増えてきている。FRBが引き続き利上げに動くことが見込まれており、ドル回帰が継続する可能性が高く新興国にとってはインフレ懸念が高まることで景気の重石となりやすい。

 

 

 

 

 

米欧日のびっくり指数では、日欧州のびっくり指数はドル高の一服や米通商協議の不透明感、株価の軟調推移もあり、市場予想を上回る経済指標も鈍化傾向となってきている。一方で、米国のびっくり指数は貿易摩擦激化にも関わらず戻り基調となっており、再び米国経済の底堅さが見られてきた。ただ、FRBが利上げを継続していることから、住宅関連指数の下振れが見られている。トランプ政権が中国との間で関税賦課の応酬激化の様相となっていることは、先行き不安から企業マインドや消費マインドなども収縮させる要因となる。米国のびっくり指数の低下は、遅行して米国株価へ影響してくることから、今後の動向には注視する必要がある。また、米国経済指標が市場予想を下回るとドル安となり、リスク回避の円買いやユーロ買いにつながりやすい。一方、日本の経済指標も市場予想を下回るものが増えているが、日本の場合は市場予想を下回るとリスク回避の円買いとなりやすいという特徴がある。

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