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グローバル製造業PMIとエコノミックサプライズ指数から市場を見る!(8/20作成)

  • 2018/08/20
  • 米蔵(ヨネゾウ)
  • 欧州タイム

J.P.モルガン.グローバル製造業PMI(季節調整済)

PMI(購買担当者景気指数)とは、景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目されている。企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを聞き取り、景況感についてアンケート調査した結果を指数化したものである。50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が続くと景気減速を示す。

 

グローバル製造業PMIは、先進国や新興国を含めた世界全体の景気度合いを計る指標として注目されている。

 

また、英国の金融情報・調査会社のIHSマークイットが独自にまとめたPMIがある。

 

『グローバル製造業PMI』は、昨年17123154.5がピークとなり景気拡大の勢いが鈍化し、今年に入ってから指数は低下し続けていた。しかし、331日の53.3をボトムとして一旦は53.5まで回復基調となった。ただ、430日の53.5がピークとして再び下落基調となり、731日には52.7まで低下している。そのため、世界的な景気の勢いはピーク時から再び鈍化傾向となっている。しかし、現在は景気成長の節目である50を上回っており、景気拡大は鈍化しながらも成長は継続している。50を割れてくるようなら、世界的に景気減速期に入ったことになるので株式市場などに影響が出始めやすい。米FRBが利上げを継続していることや、米国発の米中間での関税による報復合戦となっており先行き不透明感が強まっている。23日にはトランプ米政権は対中制裁関税第2弾(160億ドル規模)を発動する予定となっており、7月6日に発動された対中制裁関税第1弾(340億ドル規模)と合わせて500億ドル規模の制裁関税賦課となる。中国側も同額の報復関税を警告しており、米中貿易戦争激化する可能性が高まっている。米FRBは年内2回の利上げを予定しており、ドル建て債務を抱えた新興国の景気の打撃となりやすい。さらに、世界的に異常気象が発生しており、経済基盤の弱い国では景気の下押し懸念が高まりやすい。

 

一方、『日米欧のマークイット製造業PMI』では、米国は昨年6月30日時点がボトムとなり、その後若干の調整をしながらも上昇基調を継続していたが、このところの製造業PMIは下落傾向となっている。FRBの利上げやドル高、そしてトランプ政権による米中の貿易通商協議の不透明感が、企業の購買部担当者の景況感を悪化させている。また、直近では関税賦課により鉄鋼価格が先行き上昇すると見られるほか、米国内への輸入車の関税の話しも出ており製造業への逆風となっている。欧州は昨年12月31日がピークとなり、下落基調が継続していた。今年に入ってからユーロ高が続いていたことが大きな要因と思われるが、このところのユーロ高是正により戻り基調となってきた。また、7月25日のトランプ米大統領とユンケル欧州委員長の会談では、今後の交渉で欧州製鉄鋼・アルミへの関税や、オートバイ、バーボンなど米国製品にEUが課している報復関税の『解消』に取り組むことで合意したと明らかにした。このことで欧米間の貿易摩擦の激化が後退したこともあり、購買部担当者の景況感が好転した。一方、日本においては、日米間の通商協議が延期されており、購買部担当者の警戒感が根強く残っている。また、このところ円高地合いも先行き不安が残る。

 

新興国のびっくり指数は資源価格が上昇したことなどから、今年前半は経済指標が市場予想を上回る結果が多くなっていたが、315+39.50がピークとなり、その後は米利上げの影響やドル高の影響もあり急速な下落基調となった。しかし、持ち直しの傾向となっているが、このところはゼロライン近辺で横ばいから下落基調となっている。また、先進10カ国と新興国のびっくり指数は、ゼロライン近辺まで持ち直したものの、再びマイナス圏にあることから経済指標は市場予想を下回る結果が多くなっていることを示している。先進国10カ国のびっくり指数は昨年1224日をピークとして下落基調が続いていたが、新興国同様に戻り基調となった。しかし、ゼロライン近辺で頭打ちとなってきた。総じてドル高となっていることで、米国以外の先進国の経済指標の持ち直しがけん引している可能性が高い。ただ、米国と中国・先進国間で通商問題が激化してきていることや、一部の新興国通貨が暴落するなどリスク要因が増えてきている。FRBが引き続き利上げに動くことが見込まれており、ドル回帰が継続する可能性が高く新興国にとってはインフレ懸念が高まることで景気の重石となりやすい。

米欧日のびっくり指数では、欧州のびっくり指数はドル高・ユーロ安の恩恵もあり、市場予想を上回る指数が多くなってきている。一方で、日本のびっくり指数は円安進行が止まったことで、それに伴って下落基調となってきた。さらに、米国のびっくり指数は下落基調が続いており、マイナス圏に入ってきたが、下げ止まる兆しが出ていない。欧州ではユーロ安が継続していることで、景気の回復基調は継続しそうである。ただ、日本では先行きの回復に不透明感が出始めてきた。一方、米国内ではインフレが高まってきていることも景気の足かせとなってきた。特にトランプ政権が中国との間で関税賦課の応酬激化の様相となっていることも、先行き不安から企業マインドや消費マインドなども収縮してきている。特に住宅関連指標は、住宅金利の上昇が足かせとなり減速傾向が強くなってきている。米国のびっくり指数の低下は、遅行して米国株価へ影響してくることから、今後の動向には注視する必要がある。また、米国経済指標が市場予想を下回るとドル安となり、リスク回避の円買いやユーロ買いにつながりやすい。一方、日本の経済指標も市場予想を下回るものが増えているが、日本の場合は市場予想を下回るとリスク回避の円買いとなりやすいという特徴がある。

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