米国中小企業における金利の影響
2024年07月10日
皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
昨日の記事「雇用統計の結果と今後の利下げ」で確認しましたが、6月のアメリカの失業率は4.1%まで上昇しています。2023年4月の3.4%と比べると0.7ポイントの悪化です。
今更の話かもしれませんが、失業率というのは、失業者数を「就業者数と失業者数を足したもの」で割ったものです。アメリカの失業者の定義では、①就業していない人のうち、②調査期間中に就業可能だった人で、③過去4週間以内に求職活動をおこなった人、を失業者としています。
その割合が14ヶ月の間で0.7%も悪化したと考えると、労働市場を取り巻く環境の悪化が想像できます。
このような労働市場とは裏腹に、活況なのが米国株式市場です。
9日のニューヨーク株式市場では、ナスダック総合指数とS&P500指数が史上最高値を更新しています。ハイテク関連銘柄が多いナスダックや、アメリカを代表する上位銘柄で構成されるS&P500の業績は、市場最高値の更新が続くほど好調のようです。
では、それ以外の株価指数はどうでしょうか。
主要な株価指数の変化率を一つのグラフにしてみました。
今回は失業率が最も低かった2023年4月を起点としています。
米国市場の変動率(S&P500, Nasdaq, Nasdaq-100, NYダウ, ラッセル2000)
(出所:TradingViewによる米国株価チャート)
変動率を高い順に並べた結果が次のものです(2024年7月10日現在)。
<米国市場の変動率(2023年4月3日=100)>
• Nasdaq-100 +55.56%
• Nasdaq総合 +51.19%
• S&P500 +35.22%
• NYダウ +16.94%
• ラッセル2000 +12.60%
報道されているとおり、NasdaqやS&P500は高い上昇を続けていますが、NYダウとラッセル2000の上昇はそれには及ばぬ状況です。特に2024年に入ってからの変動は横ばいに近く、株価は停滞しています。
アメリカ経済を代表すると称されるNYダウが小型株中心のラッセル2000の成長率とそれほど変わらないというのは意外ですね。
失業率の話に戻しますが、金利が上昇した時に負担が大きくなるのは、負債割合の大きい企業です。一般に企業が事業運営する際の資金は、借入もしくは株式によって調達しますが、株価が低迷している状況下においては、資金調達は借入の割合が大きくなってしまいます。
利下げが実施された世界を考える
仮に年内に利下げが実施されるとすれば、企業の金利負担は縮小し、新たな借り入れや設備投資が行いやすい状況に変化します。設備投資が行われれば、労働生産性が向上しますので、その分労働者数も増加するはずです。そしてその恩恵を受けるのは、大企業よりも借入割合が高い中小企業ということになります。
ちなみにアメリカにある企業の99%以上が従業員数250人未満の中小企業です。
利下げによる経済の底上げを期待したいですね。
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