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1994年の利上げと2022年の0.75%利上げ

2022年06月16日

皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

日本時間6月16日午前3時に発表されたFRB政策金利は、0.75ポイント引き上げられ下限1.5%-上限1.75%になりました。

1回で0.75ポイント引き上げられたのは、1994年11月以来28年ぶりの出来事です。

Windows95が発売されたのが1995年なので、Windowsシリーズが発売されてから0.75ポイントの利上げが実施されたことは一度もなかった訳です。くしくも今日はIE11のサポート終了日です。

1994年がどんなことがあったのか、当時のレポート「平成7年(1995年)年次世界経済報告(経済企画庁(現:経済産業省)作成)」で確認してみたいと思います。

ここより内閣府ホームぺージから抜粋


アメリカ:景気は95年前半に大きく減速
91年春に底を打った景気は,拡大を続けて5年目を迎えたが,インフレ未然防止の観点から,94年2月以降引き締めに転じた金融政策の効果により,95年前半に景気拡大のテンポは大きく減速した。

94年~95年前半にかけての景気動向には,次のような特徴が見られた。
①金融引締めの効果が,金利感応度の高い住宅投資・耐久財消費の需要に次第に現れ,景気減速の引き金となった。
②これら需要の増勢鈍化・減少により,95年初め頃から意図せざる在庫の積上がりが発生し,その後の在庫調整から,需要の減少以上に生産が減少した。
③一方,設備投資をみると,金利上昇にもかかわらず,生産性向上に向けた情報化投資を中心に二桁の高い伸びでの増加を続けた。
④物価は,94年までの強い成長で需給ギャップが縮小してきたにもかかわらず,落ち着いた動きで推移した。
⑤経常収支赤字は,輸出の増大にもかかわらず,94年も更に拡大してGDP比▲2.2%となり,95年前半では同▲2.4%に達した。

引用ここまで

今回と同じ、0.75ポイントの利上げが実施されたのは1994年11月のことでしたが、それはインフレ未然防止の観点から実施されたものでした。

次のグラフは1991年から1997年の米政策金利と米消費者物価指数を表したものです。

米政策金利と消費者物価指数(CPI)

※Bloombergデータ、米労働省労働統計局を元にフジトミ証券が作成

インフレ未然防止策として実施された大幅利上げは効果的で、オレンジ色の線で示した消費者物価指数(CPI)はそれまでと変わらぬ水準を維持することに成功しました。当初の目的は達成できた訳です。

ただし、この利上げは景気拡大減速という副作用を招いてしまいました。

1.金利引き上げによって住宅・耐久財需要が減少し、景気拡大減速の引き金になった
2.需要減少による在庫調整からその後の生産量が減少した
3.設備投資は順調に行われたため、生産性が向上した

多くの人は住宅を購入する際にローンを組みますが、金利が上昇すると借入返済額が上昇してしまうため、返済が滞る人がでてきたり、住宅の購入をあきらめる人がでてきます。
住宅を作るには、大量の資材や設備投資が必要なので、企業は先の需要を見越して投資しますが、急に需要が無くなってしまうと供給過剰を招いてしまいます。

現在おこなっている利上げは、28年前に実施された利上げと同じくインフレ抑制を目的とした金融政策ですが、このまま制限なく利上げを続けていくと借入れ金利上昇という副作用を招き、景気後退を引き起こす可能性が高くなってしまいます。

逆に貯蓄がある場合、金利の上昇は、預金から発生する金利を増加させます。
お金持ちはよりお金持ちになり、お金が無い人は生活が苦しくなってしまうのが利上げの副作用です。

投資家にとって気になるのは当時株価がどうだったかではないでしょうか。

当時のNYダウの値動きを示したのが次のチャートです。

NYダウ

(出所:TradingViewによるNYダウチャート

1995年は一年間で33%上昇し、5,117ドルで取引を終えています。景気拡大が減速したはずなのに株価は上昇しました。

おもしろいですね。

政策金利の引き上げは、預金金利や借入金利を引き上げますが、そのことが株式に与える影響は必ずしもマイナスにはならないことを過去のデータが示しているようです。

今年に入ってからの株式市場は、リスク回避による値下がりが続いていますが、1995年の値動きをみるとそこまで悲観的になる必要は無いのかもしれませんね。

今後の参考にしていただければ幸いです。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


参考文献:
年次世界経済報告

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