フジトミ証券株式会社は投資サービスをはじめ、保険・環境関連サービスをご提供致します。

コラム

マーケット情報

日本の物価上昇率と給料

2022年06月30日


皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

先週末、5月の消費者物価指数が発表されました。

5月の物価指数は、前年同月比プラス2.5%でした。日銀は以前から2%の物価安定の目標を掲げていましたが、理想とした形になったのでしょうか。

諸外国と比べて日本の物価水準はどうなのでしょうか。

直近の世界主要国の消費者物価指数は次のとおりでした。

グラフ.主要国の消費者物価指数

表. 主要国の消費者物価指数
国名 CPI(前年同月比)
イギリス(5月) 9.10%
アメリカ(5月) 8.60%
ユーロ圏(5月) 8.10%
ドイツ(5月) 7.90%
ドイツ(5月) 7.90%
カナダ(5月) 7.70%
インド(4月) 7.04%
南アフリカ(5月) 6.50%
シンガポール(5月) 5.60%
フランス(5月) 5.20%
日本(5月) 2.50%
中国(5月) 2.10%

諸外国と比べると日本と中国の物価だけ一段低い水準ですね。

2022年4月26日のバックナンバー「チップとサービス価格」でも解説しましたが、消費者物価指数は、国内の世帯が購入する商品への支出を対象として算出されています。
すべての商品が貿易財だった場合、取引価格は国際市場で決定されますが、それが各国で同じ価格で取引されていると仮定すると、関税や輸送コストなど除いた物価は日本も外国も等しくなります。
そうならないのは、消費者物価指数に非貿易財が含まれているからです。

非貿易財の代表格がサービスです。

サービスは、農産物や工業品のように形があるものではないので、貿易(輸出入)されることのない無形のものがほとんどです。

物価と関係ないと勘違いされやすいですが世帯の出費の半分近くは、サービス購入によるものです。

次の画像は総務省統計局のホームページから消費者物価指数のデータをコピーしたものです。

消費者物価指数

出典:総務省統計局

総合のウエイトが10000、財のウエイトが5046、サービスのウエイトが4954と書いてあります。国内で消費される全体を100とした際、50.46が財で、49.54がサービスで消費されることを表しています。

冒頭で確認したとおり、5月の総合消費者物価指数は、プラス2.5%でした。

注目したいのが、財とサービスの変動です。
財には、国際取引されている工業品や農水畜産物、電気ガス水道などの料金が含まれているため5.1%上昇しましたが、サービス価格についてはマイナス0.3%と値下がりしています。

両者には大きなギャップがあります。

世界的なエネルギー価格の高騰や食料不足が発生しても国内のサービス価格が値下がりしているのって不思議だと思いませんか?

日本だけ給料が上がっていないことはご存じですよね。

残念なことにこの20年間、日本人の平均年収はほとんど変わっていません。給料が上がらなくても困らないのは、20年間ほとんど物価が変わっていないからです。

日本で働く人を産業別にみると第1次産業が5.1%、第2次産業が25.9%、第3次産業が67.3%なので、就業者の67.3%がサービス業で働いています。

労働者に支払われる給料は企業収益の分配なので、企業収益が向上しない限り、給料が増えることはありません。

現在、色々な商品の値上げが報道されていますが、消費者物価指数の内訳をみるとほとんどが有形財ですよね。

例えば、最新のスマートフォンって高いと思いませんか?ハイスペックモデルであれば普通に10万円以上しています。

スマートフォンの価格が高く感じてしまうのは、日本人の給料が増えていないからです。物価が上昇しても同じだけ収入が増えていれば収入における商品の価格の割合は変わらないため、高いと感じることはありません。iPhoneのように世界的に利用されている商品が、相対的に高く感じてしまうのは日本人の給料が相対的に低いからだと考えられます。

同じ10万円でもアメリカ人と日本人とでは価値観が違ってしまっています。

これってとても危険なことだと思いませんか?

サービスの価格とそれに従事する人の給料が上昇しない限り、諸外国と日本のギャップは拡大する一方です。
今こそ、経済の仕組みを変えるチャンスなのかもしれませんね。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


新規口座開設キャンペーン開催中

コンサルタント取引限定キャンペーン1

コンサルタント取引限定キャンペーン2

一覧へ戻る

各種資料請求・WEBセミナー