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コラム

マーケット情報

原油安と株安

2020年03月12日

皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。

新型コロナウイルスの影響からマーケットは荒い展開が続いています。

NYダウや日経平均株価は連日1000ポイント以上動いており、取引開始直後に上昇していても、その後どうなるのか判断に悩まされますよね。株式以外でも荒い展開が続いていますが、特に今週荒い値動きになったのが原油価格です。

原油価格は週明け月曜日から大幅安となりました。金曜日の終値と比べて20.37%も安い32.87ドルで取引スタートとなりました。

東京商品取引所にて円建てで取引されている「東京原油」も大幅安となり3月9日月曜日の取引は前日比11,200円安の21,760円で取引を終了しました。

このことがどのくらいすごいことなのか。
原油先物取引を行っている人以外にはピンとこないかもしれませんので簡単に説明すると21,760円というのは1キロリットル(1000リットル)の価格で取引は50キロットルを1枚として行われています。

また、先物取引は証拠金取引なので、3月9日時点、1枚取引するのに115,000円預託していれば取引することが可能でした。

3月9日の取引で11,200円値下がりしたということは「11,200円×50キロリットル」で56万円の差損益が発生したことになります。

仮に売っていた場合、56万円のプラスになりますが、買っていた場合は56万円のマイナスになってしまいます。たった一日で証拠金の5倍近い損益が発生したという訳です。

さて、そもそもなんで原油価格が大幅に下落してしまったのか。
それは、週末OPECとロシアの間で行われていた原油の協調減産協議が決裂してしまったからです。今回の決裂によって3月末で期限を迎える現在の協調減産も延長されることも無くなってしまいました。このことは、大きなサプライズでした。

想定外の出来事により原油価格が大幅安になってしまった訳ですが、このことは産油国からすればものすごく大きな収入減になってしまいます。

2年ほど前に作成したグラフですが、OPEC加盟国の輸出品目における原油依存度をグラフにしたものが次のものです。

OPEC加盟国の輸出品目における原油依存度

出典:Data Book of The WORLDよりフジトミが作成
※現在カタールはOPECを離脱しています。
多くの国が原油の輸出に依存しています。例えばOPEC加盟国の筆頭であるサウジアラビアであれば輸出額の64.4%は原油によるものです。原油価格下落による産油国の収入は減少し、オイルマネーも減少してしまいます。原油から得たオイルマネーは色々なところに投資されていますので、株式市場にとっても他人事ではありません。

下のグラフは原油価格と株価がどのぐらい密接に関係しているかを示したものがしたものです。

上が日経225、したが東京原油のチャートです。

日経225および東京原油チャート

どちらも同じような動きをしているように見ませんか?
両者の関係が密接であり、オイルマネーの行方が株式市場に流入していると仮定すれば、原油価格の上昇することが株価上昇の条件の一つと考えることができそうですね。

新型コロナウイルスの影響から先行不透明な相場展開が続いています。急激な価格変動に備えたリスク管理にご注意ください。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。


参考文献:
・Data Book of The WORLD-二宮書店

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