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イランへの制裁による影響

2018年08月09日

皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。

8月7日、アメリカは、対イラン制裁を発動しました。

今回発動されたアメリカ政府による対イラン制裁の対象は、「政府による米ドル紙幣の購入、アルミ・鉄鋼原料、半製品取引、イラン通貨の売買に関する決済、そして自動車」です。
イランは中東に位置しており、イランのことをよく知らない人からすれば石油産油国のイメージがとても強いと思いますが、石油産業がGDPに占める割合は20%程度でしかなく、イランは中東屈指の工業生産国です。

今回制裁の対象となったイランの自動車産業は、世界的に見てとても大きなマーケットです。イラン自動車製造社協会が発表した2017年度の自動車生産台数は153万台と世界16番目の生産台数を誇っています。

自動車の生産には、たくさんの部品が必要ですが、その多くは海外からの輸入に依存しています。部品が輸入できなくなると、イランでは自動車生産ができなくなってしまい、経済に大きな影響を及ぼしてしまいます。

また、多くの外国自動車企業がイランの現地企業と提携を進めており、現地で組み立てから塗装などをおこなう「コンプリート・ノックダウン」での生産をおこなっていました。
特にフランスのシトロエン、プジョー、ルノーなどは現地企業と合弁会社を設立しており、中国の自動車メーカーも多くの生産をおこなっていますので多くの人が頭を悩ましていそうです。

イラン中央銀行発表の分野別GDP内訳をみるとサービス業が48.3%、生産業が23.0%、石油産業が22.2%、農業が6.4%となっています。

もともとはアメリカが核合意離脱したことからスタートした訳ですが、トランプ大統領は8月7日、ツイッターで「誰であれイランとビジネスする者は、米国とビジネスができなくなる」と警告を発しています。

アメリカはどうしてこのような強硬姿勢を取れるのか。。
その答えは、イランの貿易相手国をみると分かってきます。

イランの貿易相手国(2017年)

輸出(2017年)

中国 9,065
UAE 6,764
イラク 6,425
韓国 4,380
トルコ 3,991
アフガニスタン 2,792
インド 2,735
パキスタン 931
タイ 731
インドネシア 645
日本 425

※出典:イラン税関(単位:100万ドル)

輸入(2017年)

中国 13,216
UAE 10,067
韓国 3,717
トルコ 3,193
ドイツ 3,083
インド 2,255
スイス 2,158
フランス 1,766
オランダ 1,439
イタリア 1,428
日本 667

※出典:イラン税関(単位:100万ドル)

 

ご覧のようにイランの主要な貿易相手国にアメリカの名前がありません。

もともとアメリカはイランとの貿易額が少ないのでそれによるダメージはほとんど無いと言えます。

今回の制裁により最も大きな影響を受ける国は貿易相手国は中国です。輸出、輸入ともに最も大きなウエイトを占めています。事業の撤退・縮小などダメージは避けられない状況です。
直接的にはイランに対する制裁ですが、間接的には中国への影響が大きくなっています。

制裁の第2弾は、11月上旬の発動が予定されており、エネルギー産業が対象で、原油・石油製品取引、中央銀行、金融機関との取引などが対象です。

11月上旬と言えばアメリカは、11月6日に中間選挙を控えています。そのあたりの兼ね合いもあるのでしょうかね。

今日は、イランへの制裁についてのお話しでした。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。


参考文献:
・イラン自動車・自動車部品産業市場動向調査(2018年7月)-JETRO
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2018/02/e1f35c2545604f5d.html

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