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アルゼンチンの政策金利と物価を考える

2018年05月23日

皆さん、こんばんは。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。

昨日はアルゼンチンの通貨であるアルゼンチンペソの変動についてお伝えしましたが、どうしてこんなにことになってしまったのか、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

昨日見たように現在のアルゼンチンの政策金利は「40%」です。

一般的に金利と物価には密接な関係があると言われています。
物価上昇率が高い(インフレ)状態にある時、金利は高く、逆に物価上昇率が低い状態にある時、金利は低く設定されるのが一般的です。

物価が上昇するとそれまで持っていたお金でモノやサービスを購入することができなくなってしまいます。

物価が2%上昇するということは、それまで100円で購入できていたものを購入するのに102円出さなければ購入できなくなってしまうことを表しています。

現在のアルゼンチンの政策金利は40%ですが、その裏には物価の上昇が関係していそうです。

IMFのデータベースによるアルゼンチンの消費者物価(年平均)は次のとおりです。

2017年 25.7%
2018年 22.7%
2019年 15.4%

2018は前年比で22.7%上昇となる予測で、来年も15.4%も消費者物価が上昇する予測となっています。

上昇率は前年比なので物価上昇の計算は複利で計算します。
したがって、2017年と2019年の差は3年間で77.98%にもなります。

アルゼンチン国民が稼いだお金を3年間タンス預金しているとその価値は56%減少してしまう計算になります。

物価と収入にも密接な関係があります。

日本を例に見てみると、2017年、日本の大卒初任給の平均額は20万6100円でしたが、今から44年前の1974年、大卒初任給は7万8700円でした。今の価値にして16万5000円ほどだそうです。

また、当時の金利は現在とは比較になりません。
1974年の郵便貯金の金利は普通貯金で4.32%、定期貯金で7.5%だったそうです。

郵便局に定期貯金を預けているだけで7.5%も増えるなんて夢のように感じてしまいますが、じつはそう単純な話しではありません。

1974年は1973年にあった第一次オイルショックの翌年でその年の消費者物価指数は前年比23.2%、翌75年が11.7%、76年が9.4%と今では考えられない物価上昇でした。

物価上昇が23.2%に対し定期貯金の金利が7.5%ですので、金利が物価上昇に追いついていなかったようです。

現在のアルゼンチンはこのような状態といえるのでしょうか。

せっかくの機会なので消費者物価指数の上昇率が高い国ベスト20をまとめてみました。

そのランキングがご覧のとおりです。

Country 2017年 2018年 2019年
ベネズエラ 1,087.5 13864.6 12,874.6
南スーダン 187.9 104.1 108.2
スーダン 32.4 43.5 39.5
アンゴラ 31.7 27.9 17.0
コンゴ民主 41.5 25.9 13.7
リビア 28.0 24.3 14.4
イエメン 4.9 23.0 20.0
アルゼンチン 25.7 22.7 15.4
エジプト 23.5 20.1 13.0
ウズベキスタン 12.5 19.5 12.9
ナイジェリア 16.5 14.0 14.8
シエラレオネ 18.0 13.9 11.2
ブルンジ 16.6 12.7 22.1
イラン 9.9 12.1 11.5
リベリア 12.4 11.7 10.5
トルコ 11.1 11.4 10.5
エチオピア 9.9 11.2 8.6
ハイチ 14.7 11.1 6.0
ウクライナ 14.4 11.0 8.0
マラウイ 11.5 10.4 7.6

なんだか場所と名前が一致しない国が多いですが、とりあえずベネズエラがぶっちぎりの一番です。

ベネズエラの2018年物価上昇率は13864.6%なので1年前よりも100倍以上のお金を出さないと同じものを買うことができない状況です。

今回クローズアップしたアルゼンチンの消費者物価指数は22.7%ですのでイエメンに次ぐ8番目に高い国となっています。

ちなみにアルゼンチンは、G7、EU、ロシアに新興国11カ国を加えたG20の加盟国です。アルゼンチン以外では上昇率11.4%で16位のトルコもG20加盟国となっています。

トルコリラ円はFXでも人気が高い通貨ペアですが、高金利を生み出す背景に物価上昇率があることを思うと金利と為替レートの変動はそう簡単なものではないように感じてしまいます。

本日、トルコリラ円は激しい値動きとなっていますのでご注意を。

今回は物価と金利についてのお話でした。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。

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