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「三道紅線」と「総量規制」-歴史は繰り返される?

2021年10月22日

皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

昨日の香港株式市場の取引で中国恒大集団(HK:3333)の株価は大幅安となりましたが、本日は一転プラス圏内での取引が続いています。

昨日のニュースで「資金繰りの厳しい中国恒大集団がライバル企業である合生創展集団との間で進めていた傘下企業の株式売却の交渉は条件で折り合いが付かず、取引は成立しなかった」と報道されたため、恒大のデフォルトの可能性が高まったと多くの市場関係者が判断しましたが、今日は一転、「明日利払い期限を迎えるドル建て債の利払いが実施される」と報道があったため、まずは一安心といった状況です。

今週末のデフォルトは回避できましたが、今後も利払い期限が連続してやってきますので、しばらくの間は「中国恒大集団」の動向によってマーケットが振り回される、そんな相場展開が続きそうです。

さて、そもそもどうして中国恒大集団は危機的状況に追い込まれてしまったのかと言えば、中国人民銀行が行った「三道紅線」(不動産融資制限策)が原因です。

以前にもお伝えしましたが「家は住むもので、投機するためのものではない」との中国共産党指導部の考えを実行するため、「財務状況が好ましくない不動産開発企業には銀行融資を制限する」という規制が導入されたためです。

ご興味がある方はバックナンバーもご覧ください。

歴史は繰り返される?

同じような話が日本でもあったことを覚えていますか?

それが1990年3月に行われた「総量規制」です。
1980年代後半、日本はバブル経済でした。
>地価公示価格(東京都分)-東京都財務局

上のグラフは東京都の地価の変動を表したものです。
1980年代前半から1990年代前半に掛けて、日本の地価は大きく上昇しました。
特に上昇したのが大都市圏の商業地です。1980年に67万円/㎡で買えた土地が、1991年には775万円/㎡を出さないと買えないほどまでに上昇しました。住宅地についても1980年に16万円/㎡だったものが1988年には95万円になりました。

このような状況で動き出したのが当時の大蔵省(現在の金融庁)です。
大蔵省は、地価の高騰や不動産投機を抑制するために融資に関する規制を行いました。その内容は、①不動産向け融資の前年比伸び率を総貸出の前年比伸び率以下に抑えること。②不動産業、建設業、ノンバンクへの融資実態の報告をもとめ、規制に違反した金融機関に是正を指導する、との内容でした。

この「総量規制」の効果もあり、土地価格は1991年をピークに下落に転じています。土地の高騰や不動産投機を抑制するという目標は見事に達成できた訳です。

この時に行われた「総量規制」が日本のバブル崩壊の引き金になったと言われています。

30年前に日本政府が行った「総量規制」と今回中国共産党が行った「三道紅線」、どちらも不動産価格の高騰を抑えるために政府が導入した規制です。

日本の「総量規制」は1991年12月に解除されましたが、一度始まってしまった資産デフレの波を押し戻すことはできず、日本経済はバブル崩壊へと進んでいきます。

現在中国で行われている「三道紅線」
中国版のバブル崩壊への引き金にならないといいのですが・・・。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。


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