雇用統計と州ごとのデータ
2022年06月06日
皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
先週末、米雇用統計の発表がありました。
非農業部門雇用者数は、事前予想の32.6万人を上回る39.0万人でした。
アメリカ非農業部門雇用者数
出典:米労働省統計局
今回の結果が予想を上回る人数だったため、市場の反応は、FRBが積極的な利上げを進めるとの認識が優勢となり、主要株価は3指数とも下落しました。
上のグラフは、直近1年間の雇用者数の推移ですが、今回の結果が1年間の中で最も少ないことにお気づきでしょうか。
3月以降は、40万人を挟んだ展開が続いており、それまでより雇用速度は鈍化しているようにも見えます。
失業率は、先月と変わらず3.6%でした。
アメリカ失業率
出典:米労働省統計局
コロナ前の失業率は3.5%でしたので、その水準まで0.1ポイントまで迫っています。3月からの3ヶ月間3.5%で推移しており、現在の水準が完全雇用に近いのかもしれません。
雇用統計は、アメリカ全体の雇用者数や失業率を数字で表したデータですが、アメリカには50の州があり、州によって人口や経済規模が違うはずです。
例えば、日本であれば、1405万人が住んでいる東京都と55万人が住んでいる鳥取県とでは、規模が違うので全体に与える影響変わってきます。
同じようにアメリカの州には、偏りがあります。
最も人口が多いカリフォルニア州では3953万人の方が生活していますが、最も少ないワイオミング州では57万人しか生活していません。鳥取県とあまり変わらない人口です。
非農業部門雇用者数や失業率の結果は、どの州でも同じなのでしょうか。仮にどの州でも労働市場の環境が同じなのであれば、雇用者数は人口に比例して増減するはずです。
実際はどうなのでしょうか。
州ごとの新規雇用者数と失業者数(2021年q3)
出典:米労働省統計局HPより
上のグラフは週ごとの雇用者数と失業者数を表したものです。x軸が失業者数、y軸が新規雇用者数を表しています。水色の直線は雇用者数を失業者数で割った際の値が1だった時をあらわした線で、この線より左に位置しているほど高い雇用率を表しています。
数字が大きい順にみていくと圧倒的に人数が多いのがカルフォニア州です。最大の人口を誇るカルフォニア州では、3ヶ月間で112万人が新規で雇用され、91万人が失業しました。雇用者数を失業者数で割った値は1.22でなので、y=axで表した時、比例定数aの値は1.22になります。
同じようにテキサス、フロリダ、ニューヨークを計算すると、テキサスがa=1.31、フロリダがa=1.51、ニューヨークがa=1.26となり、上位4州の中では、フロリダの比例定数が最も高いと言えます。
逆にもっとも比例定数が小さかったのがルイジアナの0.79でした。
アメリカ全体では、882万人の雇用に対して、754万人の失業があったので比例定数は1.17です。
アメリカ全体で大きくプラスだった訳ですが、人口が多い上位4州の比例定数が全体よりも高いということは、経済規模が大きい地域がアメリカ経済全体をけん引していると考えることができます。
雇用統計の結果が39.0万人増だったと聞くと均等に増加していると勘違いしがちですが、地域によってその増減は異なり、逆に減少している地域もあります。アメリカにも地域間格差があるようです。
各地域の企業・産業を調べることで、積極的に雇用を行っている企業、逆に労働者を減らしている企業が見えてくるので、投資先の選定にも役立ちそうです。
今日は、雇用統計の結果と、州別の雇用者数・失業者数についてのお話でした。
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・アメリカ合衆国の州-Wikipedia