フジトミ証券株式会社は投資サービスをはじめ、保険・環境関連サービスをご提供致します。

コラム

マーケット情報

資産運用と時間の活用

2021年04月30日


皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。

期待リターンと想定リスクについての記事を何回かお届けしましたが、今回は時間についてのお話をしたいと思います。

資産運用や投資において意識しなければならない概念が「時間」です。どんなに高利回りの金融商品があったとしても運用する時間が十分になければその利回りを得ることはできません。投資はギャンブルではないので、一瞬の運用で資産が何倍にもなるなんてことはなく、必ず運用には「時間」が必要になります。

※期待リターンと想定(推計)リスクに関心がある方は前回のシリーズをご覧ください。

これは、農作物を育てるのと似ています。

種を蒔いて水や肥料をやってもすぐに収穫できるようになることはなく、花が咲いて実が成るのを待ってようやく食べられるようになります。

農作物では種を蒔いてから食べられるようになるまでに必要な時間が違います。1ヶ月も経たずに食べられるようになるものがあれば、何年も経たないと食べられるようにならないものもあります。

金融商品も同じで、すぐに満期を迎えるものがあれば、満期まで何年も月日を要するものもあります。投資家は色々ある金融商品の中から自分にあった金融商品を選択する訳ですが、表示されている金利は、同じ期間で表示しないと比較することができません。一般に金利や利回りを表す際、年間で表すのが一般的です。

金利と適用期間の関係性


例えば、銀行などで見かける外貨預金のパンフレットでは、特別金利で1ヶ月ものが年利12%にアップするといったキャンペーンをやっていますが、実際にキャンペーン金利が適用されるのは、最初の1ヶ月だけなので、「12%÷12ヶ月」で税引き前の金利は1%しかアップしない計算になります。「本当は1%じゃないか!」と文句を言いたくなりますが、金利は、年利で表示するのが一般的なので、この表示方法に間違いはありません。

住宅ローンのパンフレットを見ても変動2.475%~などの表記がされていますが、実際は35年など長期に渡って借入をしますので、返済する金利は何百万円、何千万円にもなります。住宅ローンの適用金利も年利で表記されています。

パンフレットや契約書などに書いてある金利は、年利が一般的なので実際に得られる(支払う)金額に対して何%の増減があるのかを確認する必要があります。

就業機会が70まで延長!?

この「時間」に関する問題で、多くの人に影響を及ぼす改正が2021年4月1日に行われました。それが、高年齢者雇用安定法の改正です。
今回の改正によって70歳まで就業機会を延長する努力義務が企業に課せられ、定年を廃止するか、定年を70歳にするか、再雇用で70歳まで働ける制度にするかなど、雇用の延長について労使間で話合われることになりました。

各企業によって対応は異なるとは思いますが、70歳まで働くということがスタンダードな世の中になってくることに間違いなさそうです。

なぜこのようなことになったのか。
一つの課題に年金問題があります。超少子高齢化社会を迎えた日本では、高齢者人口増加と現役世代人口の減少が大きな問題になっています。
現役世代の減少は大きな問題で財務省のデータによると2021年時点で6801万人いる現役世代が2065年には4189万人に減少してしまう計算になり、一人当たりGDPを大きく改善しない限り、日本のGDPは低迷してしまうことになってしまいます。
元気に働ける人が働き続けるということは、現役世代人口の減少を鈍化させることができ、年金問題も後ろ倒しになるの素晴らしい対策だと思います。

多くの人が現役で働ける期間が長くなったいうことは、老後の生活費を蓄える時間が長くなってきます。今までよりも資産運用や投資に利用できる時間が長くなりました。この時間を有効活用するか、それとも何もしないでいるのか、この10年は大きな違いになります。

家庭環境によってことなりますが、一般的には、60代夫婦の家庭では子供は独立し住宅ローンの支払いは終了しているケースが多いので、この世代は貯蓄を作りやすいはずです。

例えば、毎月5万円の貯蓄を行ったとすれば、10年で600万円になり、10万円の貯蓄をおこなったとすれば1200万円の蓄えを作ることができる訳です。

上の例は60歳夫婦をイメージしてのものですが、年齢が若ければ若いほど、蓄えられる期間が長くなりますので、合計金額はもっと大きなものになります。

現在50歳の人であれば70歳まで20年、40歳の人であれば30年、30歳の人であれば40年もあるので、この時間を有効活用できれば大きな資産形成につなげることができます。

前回確認した4つの株価指数の中で期待リターンがもっと好成績だったのがNYダウでした。確認した期待リターンと想定(推計)リスクは次の通りです。

NYダウのリスクとリターン
期待リターン 推計リスク
1年 43.0% 17.0%
3年 12.2% 18.5%
5年 13.7% 15.3%
10年 10.8% 13.7%
20年 7.1% 14.7%
30年 9.2% 14.4%
40年 9.9% 15.0%

 

採用した期間によって運用結果は変わっていますが3年から40年の期待リターンは7.1%~13.7%でした。最も期待リターンが低い7.1%を複利で計算した運用実績はご覧のようになります。

1万円を年利7.1%(複利)で運用した場合
3年 12,284円
5年 14,091円
10年 19,856円
20年 39,426円
30年 78,286円
40年 155,445円

現在30歳の人であれば70歳になる40年間資産運用することができ、仮に年利7.1%の複利で運用できたとすれば、計算上70歳になった時に1万円が15.5万円になっていることになります。10万円が155万円になり、100万円が1554万円になることになりますので大きいですよね。

そんなにうまくいくかどうかと考えてしまいますが、今から40年前の1981年NYダウの終値は875ドルでした。現在の価格は30,000ドルを超えていますので30倍以上になっています。

資産運用は、運用できる時間がどのくらいあるのかで結果が変わってきます。単年では数%の違いでも複利で長期運用すると大きな違いになってくるので、10年、20年先のことを考えながら運用するのが賢い運用といえるでしょう。

今回は、資産運用における時間の重要性と金利についての注意点をお伝えしました。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。


参考文献:
・高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html

・国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp

一覧へ戻る

各種資料請求・WEBセミナー