フジトミ証券株式会社は投資サービスをはじめ、保険・環境関連サービスをご提供致します。

コラム

マーケット情報

物価変動を品目別にみてみると何か見えてくる?

2018年06月06日

皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。

前回の記事で消費者物価指数のウエイトについてお話しました。

■ 関連記事
・2018年6月5日 消費者物価指数のウエイトについて

簡単におさらいすると私達消費者が購入する重要な品目585品目を抽出し、購入される数量と価格をミックスしさらに全体からみてそれがどの程度の割合があるのかを数字で示したものがウエイトでした。

今日は、物価変動について考えてみたいと思います。

データは総務省統計局発表の消費者物価指数で、2015年を100とし、どのような変動があったのかを示したものです。

※出典:総務省統計局

グラフを見てお気づきのだと思いますが、日本の消費者物価指数はここ20年間まったく成長していません。1998年の値は100.1でしたので2015年のほうが1998よりも物価が安い計算になります。

どうしてこんなに低いのでしょうか。

物価上昇率2%という政府と日銀の目標が達成できる見込みはあるのでしょうか。

昨日みたように消費者物価指数は、585種の品目にウエイトが設けられそれらが上がったか下がったかによって決まっています。

それぞれの品目がどのように変化しているかが解ればその答えが見えてきそうです。

まず、それぞれの品目が総合の結果とどのぐらいの乖離があるのかを見てみます。

消費者物価指数-品目別1

※出典:総務省統計局

最初にみた消費者物価指数の線よりも下に位置していれば昔は価格が安く最近になって上昇してきたことを意味し、逆に総合よりも上に位置していればその逆を意味します。

濃い青の生鮮食品は下のほうにいますので消費者物価を底上げしていると言えそうです。

これを585品目すべてがどうなっていたのか見ていけば色々と解りそうですが、時間に限りがありますのですべての品目を一気にグラフ化してみます。

その結果が次のグラフです。

消費者物価指数-品目別全部

※出典:総務省統計局

なんだかイメージしていたものとは異なる形になってしまいました。

1本だけ突出して異なる動きをしている茶色線があります。1970年代から80年代にかけて2000を越えていますので今よりも20倍以上高かったものがあったようです。

その品目は「教養娯楽用耐久財」です。

「教養娯楽用耐久財!?」って言われてもピンときませんが、この内容は、テレビ、携帯型音楽プレイヤー、ビデオレコーダー・プレイヤー、PC、タブレット、カメラ、ビデオカメラ、楽器、学習机などが入ります。

これら教養娯楽用耐久財は今とは比べものにならないほど高級品だったことが消費者物価からも伺い知ることができます。

もう一本確認できる紺色の欄は「家庭用耐久財」です。

「家庭用耐久財」も?マークが頭に浮かびますが、こちらは、電子レンジ、炊飯器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの白物家電を指します。こちらも1990年代後半まで200を越える数値でした。

消費者物価指数の品目別すべてのデータから教育娯楽用耐久財と家庭用耐久財を除いたデータが次のものです。

消費者物価指数-品目別全部(除教育娯楽用耐久財、家庭用耐久財)

段々とそれっぽいグラフになってきました。

高値で推移している茶色の線が「家具・家事用品」。オレンジっぽい線が「通信」です。最近では北欧系の家具店や国内で全国展開している大型量販店で安めに家具を購入できますが、30年40年前はそのような店舗は無く家具は財産といえるほど高級品でした。
通信は技術の向上とともに安価で大量の情報転送できるようになりましたのでそのことは価格にも影響しているのでしょうね。

続いて高いのが緑色の「室内装備品」です。
室内装備品は、置時計、照明器具、カーペット、カーテンなどです。一昔前は、高級じゅうたんや応接間にシャンデリアのような照明器具をつけるなんて文化が流行った時期がありましたが今ではそのような家庭をあまり見かけなくなりました。

淡い水色の線が「保健医療用品・器具」です。
ここに該当するのがメガネ、コンタクトレンズが該当します。メガネなんかも数十年前までは高級品で、メガネひとつ作るのに悩む時代もありましたが、最近は均一価格で1時間たらずでメガネが作れる大型量販店が主流になっています。

続いて値下がりしているのが「家事用消耗品」です。
ポリ袋、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、洗剤、殺虫剤などが該当します。1973年と1979年に起きたオイルショックの影響から高騰した家庭用消耗品。現在の価格は当時よりも安くなっています。

続いて高かったのが「寝具」です。
ベッド、布団、毛布などですが、1980年台から90年代にかけては、高級羽毛布団ブームなどにより高値で推移していましたが、最近では低価格で高品質なものが手に入れられるようになった影響からか安定した動きになっています。

今までみてきたこれらの項目を除いたデータがご覧のものです。

ずいぶんとすっきりしてきました。

まとめ

ここまでみたものは、昔高くて今は安くなっているものです。とんでもなく安くなっているのが家電製品です。テレビなど教育娯楽用は1970年代に比べて20分の1程度の価格になり冷蔵庫や掃除機などの白物家電も1980年代の3分の1程度で購入できるようになりました。技術の進歩で通信料は安くなり、時代と価値観の変化から家具・寝具にお金を掛けなくなってしまいました。また、メガネなどの工業製品もハンドメイドから大量生産にかわったこともありやすくなっています。

時間の都合から本日はこの辺で。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


参考文献:
総務省統計局

一覧へ戻る

各種資料請求・WEBセミナー