求人件数は景気先行指標
2018年10月17日
皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。
10月16日は、NYダウが急反発しました。今週決算を迎えた企業の業績が軒並みプラスだったこと、9月の鉱工業生産指数が事前予想を上回る0.3とプラスだったこと、労働省が発表した8月の求人件数が713万6000件と大幅に増加したことなどを受け、買いが優勢となり前日よりも547.87ドル高い25798.42ドルで取引を終えました。
失業率や非農業部門雇用者数については毎月発表される雇用統計から目にする機会も多い情報ですが、求人件数についてはあまり取り上げられることも無いので今回はこの求人件数というデータについて観察してみたいと思います。
求人件数などのデータは労働省ホームページに公開されています。
統計を取り始めた2013年3月から現在までの求人者数の推移を表したものが次のグラフです。
グラフ1.求人者数(アメリカ)
※出典:米労働局 作成:フジトミ
2018年8月の求人者数713万6000人という人数は統計開始以降最も多い件数になっています。
求人件数の推移をみると明らかに求人者数が減少している時期があります。それが2009年前後です。ご存知のように2008年9月15日、リーマン・ブラザーズ・HDは経営破綻し世界的規模の金融危機をもたらしました。
2008年9月以降、求人者数は大きく減少し2009年7月には219万6000人まで減少しています。この時、求人者数の減少が始まったのは、2007年5月からです。前の月2007年4月の482万4000人をピークに翌月からは減少し始めています。
サブプライムローン危機は2007年後半から2009年頃までを指すのが一般的ですが、求人者数がピークを打ったのが2007年4月で、その後ボトムが2009年7月です。
経済の教科書では新規求人者数は景気全体を先行して推移する「先行指標」だとされていますがデータ的にも先行指標としてきちんと機能していたことが確認できたと思います。
さて、問題は直近の変動です。グラフが示すように2018年以降、求人者数は大きく増加し、8月は観測史上最多の713万6000人まで増加しました。前年同月の求人者数は604万4000人でしたのでたったの1年間で109万2000人もの求人者数が増えた計算になります。
2009年からの求人者数の増加を段階別でみると1段目が2009年から2013年末まで、2段目が2014年から2017年末まで、3段目が2018年に入ってからです。
グラフ2.求人者数その2(アメリカ)
※出典:米労働局 作成:フジトミ
この3段目の成長速度はあまりにも速すぎるようにも見えます。
雇用者数と離職者数を一緒に表示させたものが次のグラフです。
グラフ3.求人、雇用、離職者数(アメリカ)
求人者数は急激に増加していますが、雇用者数はそれほど増加しておらず、両者に開きが生じています。
※出典:米労働局 作成:フジトミ
今後、両者のギャップは埋められるのかどうか。そのあたりに注目したいですね。
今日は、先行指標の一つ、新規求人者数についてお伝えしました。
このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。
参考文献:
・米労働省
https://www.bls.gov/