メキシコペソなど新興国通貨の動向について(11/21)
2018年11月21日
こんにちは!
テクニカルアナリストの山口です。
FX市場において人気の高い通貨は、米ドルや英ポンドのようなメジャーカレンシー以外に新興国通貨があげられます。
下の図は11月21日時点での東京金融取引所の全通貨ペア(ラージ銘柄は除く)の建玉状況をランキング形式で表示したものです。ご案内のとおり、米ドル/円は1位、英ポンド/円は3位にランクインしていますが、注目したいのは2位の「トルコリラ/円」、4位の「南アランド/円」、6位の「メキシコペソ/円」です。
取引所に上場されている通貨ペア(ラージ銘柄は除く)は25銘柄あります。米ドルやユーロ、英ポンド、豪ドル、日本円はメジャー通貨やハードカレンシー、主要通貨などと呼ばれ、国際的に取引量が多く、認知度も流動性も高いため、米ドル/円や英ポンド/円のような通貨ペアの取引量は多くなります。
これに対し、トルコリラや南アランド、メキシコペソなどは、高金利通貨と呼ばれ、インカムゲイン(日々のスワップポイント)に妙味があります。
例えば、11月15日のスワップポイントは、トルコリラ/円が109円(1枚の必要証拠金8,430円)、南アランド円が115円(1枚の必要証拠金32,170円)、メキシコペソ円が120円(1枚の必要証拠金22,770円)です。
※11/15を例に挙げたのはスワップポイントの付与日数が1日であるため
※日々、スワップポイントは変動します
※上記は全て東京金融取引所 くりっく365のスワップポイント
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次のグラフは年初来の各通貨ペアの推移で、上の段はそれぞれの通貨の実際の値動き(メキシコペソ円、南アランド円は左軸、トルコリラ/円は右軸)、下の段は昨年末の終値を100として指数化したグラフになります。
良く見ると南アランド円とトルコリラ/円は同じようなタイミングで上昇下落しているようにも見えます。実際にそうかどうかを「スピアマンの相関係数」を利用して計算してみます。
※相関係数は-1から1の間で計算され、1に近いほど似た値動き(=相関)、-1に近いほど反対の値動き(=逆相関)、0付近は相関は見られないと判断します。
※価格はTFXの終値を利用 計算期間は、2018年の大発会から2018年11月20日まで
結果は、南アランドとトルコリラは0.951、やはり似た値動きになっていることがわかります。
それとは対照的なのがメキシコペソで、南アランドとの相関係数は-0.04、トルコリラとの相関係数は-0.14でした。
米国は今後も利上げを継続すると考えられる中、メキシコについては、米国との新NAFTA(USMCA)もあります。トルコは今夏に比べると政治リスクは低下していますが物価上昇率は依然として高く、南アは中国景気の減速とユーロ圏の経済・政治動向などのリスクが燻ります。
こういった観点から、新興国通貨への投資という意味でいえば、メキシコペソをポートフォリオに加えるのも1つかもしれません。
このコメントはテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。