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プラチナとパラジウムの価格差と触媒について

2018年07月20日

皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。

今日も朝から暑いですね。

日本各地で気温が上がり、体調を崩して緊急搬送されている方も大勢いらっしゃるようなので小まめな水分補給を心掛け、エアコンをつけるなど身体に負担が掛からないようお気をつけください。

さて、今日は「プラチナ」と「パラジウム」の価格についてです。

プラチナは皆さんよくご存じだと思いますが、日本では結婚指輪などによく使われる貴金属です。日本語では「白金」ともいいます。

一方、パラジウムはあまり聞きなれない貴金属でイメージが付きにくいかもしれませんがゴールドやプラチナ、シルバーなどと同じ貴金属で、プラチナよりも柔らかい銀白色の貴金属です。

パラジウムの産地は、ロシア、南アフリカ、北米などです。特に南アフリカとロシアからの供給量が多く、その2国だけで地球上にある鉱山供給量の4分の3を供給しています。
プラチナの産地も、ロシア、南アフリカ、北米などです。特に南アフリカの生産量は圧倒的で鉱山生産量の約7割が南アフリカ産になります。

プラチナとパラジウム、この二つの貴金属は産地がとてもよく似ています。
ロシアと南アフリカが主な生産地でそれ以外の土地ではほとんど取れません。

今回クローズアップしたいのは、プラチナ価格とパラジウム価格が逆転しているということです。

プラチナとパラジウムの価格-月足

※チャートはポジション・トレーダーPROから

1996年から今日までの値動きを現したものが次のグラフです。見てお分かりのようにほとんどの時間、プラチナ価格がパラジウム価格を上回っていましたが、2018年に入ってから両者の関係が逆転し、パラジウムの方が高くなってしまいまいた。

どうして逆転現象が起きてしまったのか。答えはディーゼル車の生産台数に大きな影響を受けているようです。

プラチナとパラジウムの最大需要は自動車触媒(しょくばい)です。

自動車の排出ガスの中に含まれる有毒物質を酸化・還元することで浄化する技術を触媒と言います。

触媒は、排出ガス含まれる炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物などを触媒装置を使って水、二酸化炭素、窒素などに酸化・還元して排出しています。

イメージしやすい動画がYoutubeにありましたので紹介します。

触媒PV
https://www.youtube.com/watch?time_continue=45&v=V95zMHJEmJo-外部リンク

プラチナ、パラジウムともに最大需要は自動車触媒です。プラチナとパラジウム、触媒として利用する車の種類が違います。プラチナがディーゼル車、パラジウムがガソリン車の触媒として利用されています。

2016年実績で、自動車触媒に使用されたそれぞれの量は、プラチナが102トン、パラジウムが229トンでした。
プラチナの2倍以上のパラジウムが触媒として使われているわけですが、両者の命運を分けたのがディーゼル車の普及状況です。

ディーゼル車を取り巻く排ガス不正問題の影響からヨーロッパではディーゼル車の需要が減少し、その分ガソリン車、EV/HV車の需要が高まりました。

例えばスペインでは2013年時点で67.4%あったディーゼル車のシェアが2018年第1四半期では38.4%まで減少。変わってガソリン車は、31.1%だったものが56.1%まで増加しています。

実際に触媒として利用されている量をグラフにしたものがご覧ものです。

プラチナ需要が低迷している中、パラジウム需要は年々増加しています。

最後にもう一度両者の価格差を見てみてください。

プラチナとパラジウムの価格-日足

※チャートはポジション・トレーダーPROから

この状況はいつまで続くのでしょうね。

貴金属をトレードされている方はパラジウムの値動きにも注目してみてください。

今日は、プラチナとパラジウムの価格差についてのお話しでした。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。


参考文献:
・ディーゼル車のシェアが急減、第1四半期は38.4%
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/04/98f26a833efdaee1.html
・貴金属取引の基礎知識-TOCOM
http://www.tocom.or.jp/jp/guide/study/textbook/documents/2018_preciousmetal_text.pdf

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