トルコの対内直接投資と対外直接投資
2018年08月14日
昨日今日とニュースを見ればトルコ・トルコ・トルコとトルコに関するニュースばかりでトルコリラ円を取引していない人からすると、あまり関係ないのだけどという気分になってしまいそうですが、トルコはG20のメンバーでもあり、経済は世界中で繋がっていますので不安定さは、世界の国々に大きな影響を与えています。
対外的な取引がどの程度おこなわれているのかを知る指標の一つに直接投資という指標があります。
今日は、直接投資の状況からトルコ経済を見てみたいと思います。
まずは、対内直接投資から
対内直接投資とは、海外からトルコの国内企業におこなわれている投資を指します。トルコ企業に流入している株主資本の額を2015年と2016年で比べてみると物凄く減少していることが解ります。
対内直接投資(単位:100万ドル)
2015年 | 2016年 | 伸び率 | |
EU28 | 7014 | 3778 | -46.1% |
オランダ | 1184 | 955 | -19.3% |
英国 | 585 | 950 | 62.4% |
ドイツ | 355 | 430 | 21.1% |
スペイン | 2305 | 409 | -82.3% |
オーストリア | 80 | 361 | 351.3% |
ルクセンブルク | 1252 | 309 | -75.3% |
フランス | 164 | 88 | -46.3% |
EFTA | 208 | 354 | 70.2% |
ロシア | 747 | 259 | -65.3% |
中近東 | 1317 | 1252 | -4.9% |
アゼルバイジャン | 839 | 652 | -22.3% |
カタール | 350 | 375 | 7.1% |
レバノン | 0 | 152 | |
米州 | 1630 | 458 | -71.9% |
米国 | 1619 | 390 | -75.9% |
アジア | 1147 | 757 | -34.0% |
日本 | 314 | 329 | 4.8% |
中国 | 451 | 300 | -33.5% |
韓国 | 39 | 36 | -7.7% |
※出典:トルコ中央銀行
2015年と2016年の対内直接投資の額を比較するとほとんどの年がマイナスです。特に金額が大きかったオランダ、スペイン、ルクセンブルクなどが挙って大幅マイナスとなっています。
トルコは地理的要因もあってEU加盟国からの投資が多いようですがそれらの国々との取引が軒並み減少しています。
全体でもわずか一年間で43%も減少していました。
続いて対外直接投資です。
トルコが海外企業に投資することを対外直接投資といいます。
対内直接投資同様、表でまとめたものが次のデータです。
対外直接投資(単位:100万ドル)
2015年 | 2016年 | 伸び率 | |
EU28 | 2869 | 1528 | -46.7% |
オランダ | 1567 | 816 | -47.9% |
英国 | 631 | 336 | -46.8% |
ドイツ | 250 | 125 | -50.0% |
ルーマニア | 26 | 54 | 107.7% |
ルクセンブルク | 131 | 50 | -61.8% |
イタリア | 22 | 31 | 40.9% |
フランス | 20 | 30 | 50.0% |
EFTA | 154 | 72 | -53.2% |
ロシア | 62 | 10 | -83.9% |
中近東 | 429 | 325 | -24.2% |
アゼルバイジャン | 276 | 227 | -17.8% |
イラク | 27 | 40 | 48.1% |
UAE | 28 | 37 | 32.1% |
米州 | 1360 | 849 | -37.6% |
米国 | 1343 | 836 | -37.8% |
アジア | 153 | 107 | -30.1% |
中国 | 20 | 34 | 70.0% |
カザフスタン | 10 | 31 | 210.0% |
韓国 | 35 | 17 | -51.4% |
※出典:トルコ中央銀行
対内投資同様こちらも大幅減少となっています。
全体の投資額は2015年が52.41億ドルありましたが、2016年には31.22億ドルまで減少しました。
2015年から2016年にかけて対内、対外ともに40.0%以上の減少でした。このころから対トルコ投資は減少していたようです。
この先どんな展開になるのでしょうね。
しばらくは、「トルコ、トルコ、トルコ!」なニュースが続きそうです。
なお、8月15日16時、トルコの失業率が発表になります。普段ならあまり注目される経済指標ではありませんが、状況的には、その発表をきっかけに変動し始める可能性がありますのでご注意ください。
このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。
参考文献:
・世界貿易投資報告
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/gtir/2017/51.pdf