「労働生産性(1人当たり)」の高い国に投資する
2022年07月12日
皆さま、おはようございます。CFP(ファイナンシャルプランナー)のワイワイこと岩井です。
昨日の記事「増え続けるアメリカ企業の給料」でアメリカの民間労働者の総収入が過去10年間増え続けていることを確認しました。
昨日の記事よりも長い20年間でみたらどうなるでしょうか。
全産業・全職種の民間人労働者の総報酬、3ヶ月間の変化率
出典:米労働省
アメリカは過去20年間の変動率はすべてプラスであり、賃金(労働者の総報酬)が四半期で減少したことは一度もありませんでした。
どうしてそのようなことができるのでしょうか。
色々な要因があると思いますが、分析方法がありますが、そこには「1人当たりの労働生産性」が大きく影響関係していると考えられます。
次のグラフは、日本とアメリカの労働生産性(1人あたり)を表したものです。
労働生産性(1人あたり)
出典:OECD
アメリカの1人あたり労働生産性は2008年時点で87,710ドルでしたが、2020年には141,370ドルに成長しました。12年間で1.61倍に成長しています。
一方、日本の1人あたり労働生産性は2008年時点が61,266ドル、2020年が78,655ドルでした。12年間での成長率は1.28倍でした。
元々日米の差は2008年時点で26,444ドルありましたが、2020年にはその差が62,715ドルに広がってしまいました。
62,715ドルを現在の為替レート(1ドル=137円)で計算すると8,591,955円にもなります。アメリカの労働者の方が859万円も生産が高く、その対価が賃金に還元されていると考えられます。
それ以外の国と比べるとどうでしょうか。
次の表はOECD38加盟国の「労働生産性(1人当たり)」を表した表にしたものです。
労働生産性(1人当たり)
国名 | 2020年 | 2008年 | 成長率 | |
1 | アイルランド | 207,353 | 84,397 | 2.46 |
2 | ルクセンブルク | 158,681 | 98,005 | 1.62 |
3 | 米国 | 141,370 | 87,710 | 1.61 |
4 | スイス | 131,979 | 73,109 | 1.81 |
5 | ベルギー | 126,641 | 80,656 | 1.57 |
6 | ノルウェー | 126,002 | 86,128 | 1.46 |
7 | デンマーク | 123,792 | 65,388 | 1.89 |
8 | フランス | 116,613 | 73,387 | 1.59 |
9 | オーストリア | 115,489 | 73,888 | 1.56 |
10 | オランダ | 115,228 | 71,864 | 1.60 |
11 | スウェーデン | 112,297 | 70,916 | 1.58 |
12 | フィンランド | 111,154 | 68,924 | 1.61 |
13 | オーストラリア | 110,804 | 70,604 | 1.57 |
14 | イタリア | 108,925 | 69,885 | 1.56 |
15 | ドイツ | 107,908 | 72,004 | 1.50 |
16 | アイスランド | 104,026 | 67,131 | 1.55 |
17 | カナダ | 101,544 | 68,058 | 1.49 |
18 | イスラエル | 99,839 | 71,626 | 1.39 |
19 | 英国 | 94,763 | 67,485 | 1.40 |
20 | スペイン | 94,552 | 61,796 | 1.53 |
21 | トルコ | 88,459 | 33,862 | 2.61 |
22 | スロベニア | 86,157 | 48,135 | 1.79 |
23 | チェコ | 85,938 | 45,464 | 1.89 |
24 | 韓国 | 83,373 | 50,422 | 1.65 |
25 | ニュージーランド | 82,346 | 50,681 | 1.62 |
26 | リトアニア | 80,646 | ||
27 | ポーランド | 79,418 | 36,929 | 2.15 |
28 | 日本 | 78,655 | 61,266 | 1.28 |
29 | エストニア | 76,882 | 32,873 | 2.34 |
30 | ポルトガル | 72,994 | 44,439 | 1.64 |
31 | ハンガリー | 72,687 | 42,055 | 1.73 |
32 | ラトビア | 69,838 | 28,737 | 2.43 |
33 | スロバキア | 69,046 | 37,700 | 1.83 |
34 | ギリシャ | 65,630 | 60,527 | 1.08 |
35 | チリ | 60,897 | 31,814 | 1.91 |
36 | コスタリカ | 55,466 | ||
37 | メキシコ | 48,116 | 31,409 | 1.53 |
38 | コロンビア | 37,563 | ||
OECD平均 | 100,799 | 78,467 |
出典:OECD
驚いたことにこの12年間、すべてのOECD加盟国で「労働生産性(1人当たり)」が向上していました。
日本は他国に成長速度で劣るため、2008年時点で21位だった日本の順位はが、2020年には28位に転落してしまっています。
日本の成長率1.28倍は、ギリシャに次いで下から2番目の低さです。
現在、日本の「労働生産性(1人当たり)」はOECD加盟38ヶ国の中で下から11番目です。
いつの間にか日本は斜陽国家的存在になってしまったようです。ちょっと恐ろしくなりますね。
この状況は、外国人からみてどう写るのでしょうか。
日本で働きたいと思うのか。日本に投資したいと思うのか。
より高い報酬やリターンを期待するのであれば、金額が大きく高い成長率の高い国を選択するのが自然ですよね。
今のペースでいくと数年後に日本はエストニア、ポルトガル、ハンガリー、ラトビア、スロベキアにも追い抜かれてしまいそうです。
このままでいくと日本で働く外国人、日本企業に投資する外国人が減ってしまいます。何とかして国際競争力を高めなければなりませんね。
皆さんは、投資する際、どんな国に投資したいですか。
今後の成長が見込める国を選びますよね。
ちなみに今回の調査で最も高い成長率になったのは「トルコ」でした。
トルコと言えば、何年も通貨安が続いていますが「労働生産性(1人当たり)」で見た際には、OECD加盟国の中で最も成長率が高い国です。
1人当たりの労働成長率の高い国に投資するのであれば、トルコ、アイルランド、ラトビア、エストニア、ポーランドの5ヶ国が選択肢に入ってきます。
「そんな新興国に投資するなんて・・・。」
と思ってしまいますが、トルコ、アイルランド、ポーランドの労働生産性(1人当たり)は、日本を上回っています。
トルコやポーランドなど「労働生産性(1人当たり)」が高い国の通貨に投資をお考えの方は、口座開設キャンペーン実施中のフジトミ証券FXをよろしくお願いします。