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カタールがトルコに150億ドル直接投資した背景

2018年08月16日

皆さん、おはようございます。ファイナンシャルプランナーのワイワイです。

カタールがトルコに150億ドルの直接投資をおこなうとの報道がありました。

トルコの直接投資についてはちょうど2日前に記事を書きましたが、ちょうどタイムリーな話題です。

さて、カタールが実施するとされている150億ドルという規模はどの程度なのか。

もう一度振り返ってみたいと思います。

対内直接投資(単位:1億ドル)

国名 2016年
EU 37.78
オランダ 9.55
英国 9.5
ドイツ 4.3
スペイン 4.09
オーストリア 3.61
ルクセンブルク 3.09
フランス 8.8
EFTA 3.54
ロシア 2.59
中近東 12.52
アゼルバイジャン 6.52
カタール 3.75
レバノン 1.52
米州 4.58
米国 3.9
アジア 7.57
日本 3.29
中国 3
韓国 0.36
合計 68.88

※出典:トルコ中央銀行

上の表はトルコへの対内直接投資がどれだけおこなわれたのかを示す表です。流入株主資本のみの計上ですが、2016年にトルコが全世界の国々から受けた直接投資の合計額は68億8800万ドルでした。

今回カタールが実施すると言っている150億ドルという規模は、2016年に全世界から受けた直接投資の額を2倍以上も上回る大規模な投資になります。すごい金額です。

今回カタールがトルコの救済をおこなった背景には、2017年に起きたカタールの国交断絶問題があります。

2017年6月、サウジアラビア、UAE、エジプト、バーレーンなどの中東の国々がカタールとの国交を断絶しました。断絶した理由はカタールがテロ組織を支援しているとの理由です。カタールはテロ組織の支援は全く根拠がないものだと主張し、否定しています。

この問題を取り巻く環境は、カタールと国交断絶した国々とカタールを支援する国々の分裂を産んでしまいまいた。カタールを支援した国がトルコ、イラン、フランス、ドイツ、クウェート、オマーンなどの国々です。

カタールは、アラビア半島のペルシャ湾の小半島に位置する国で面積は1.2kmと四国よりも小さいな国です。人口は263.9万人ほどですが、天然ガスの埋蔵量は世界3位、原油埋蔵量は26億トンとエネルギー大国です。

カタールは、サウジアラビアと陸路でつながっていますが、国交が断絶してしまったので陸路での物資のやりとりができなくなってしまいます。カタールの食料自給率はわずか10%しかなく、サウジアラビア経由で食料を輸入できなくなってしまった以上それ以外の経路から輸入する必要がありました。

そんなカタールを助けたのがトルコとイランです。
兵糧攻めにあったカタールでしたが、トルコとイランが空路で輸入したので危機的状況を免れることができました。カタールにはその時の恩があります。

それ以降、カタールとトルコはより親密な関係にあり、今回のトルコ危機を救済することになりました。

今回の150億ドルの直接投資の背景にはそんなことが関係しています。

これまでトルコで起きている問題の登場人物はトルコとアメリカだけでしたが、カタールが登場しその先には、親密な関係にあるイラン、国交断裂しているサウジアラビアなど様々な国の思惑が複雑に絡み合っています。

ひとまずは、危機的状況を回避できた訳ですが、今後どうなるでしょうね。

今後の中東情勢に注目です。

今日は、カタールがおこなった150億ドルの直接投資についてのお話でした。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、残念ながら内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもございません。ご了承ください。


参考文献:
・Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-15/PDIH9X6VDKHX01
・JETRO
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/gtir/2017/51.pdf
・三菱商事グローバルリサーチ
https://www.scgr.co.jp/report/weekly/2017061226195/

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